我が日課の1つは、書店に足を運ぶこと。
お目当ての本があってもなくても、
行く先々で、書店に立ち寄るのが、何よりの楽しみです。
なぜなら、きっと新たな"出会い"があるから。
先日、いつものように、書店内を歩いていると
ある本の帯に書かれていた文言に、ふと目に留まりました。
「カンヌ国際映画祭でレッドカーペットを踏んだ初めての現役ヤクザ。
順風、逆風でどう処すか」
というものです。
映画好きな僕としては、ちょっと気になって読み進めてみたところ、
思いがけない衝撃が!
一言、この上なく、経営者、リーダー向けの一冊なのです。
そして、ぜひとも紹介したい、いや、紹介せねば、と思うに
至った次第です。
それが、
『熊谷正敏 稼業 頭角の哲学』(著:向谷匡史)
です。
熊谷正敏 稼業 頭角の哲学/amazonへ![](//ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=jmcaavdept-22&l=am2&o=9&a=4865900799)
稲川会理事長補佐で、碑文谷一家11代目総長、
熊谷正敏氏へのインタビューを元に構成された一冊。
読めば読むほど、リーダー必読!
との思いが強くなります。
たとえば、
・問われるのは時代ではなく、トップとしてどう処するか。
自分自身の生き方ではないでしょうか。
・組織は「情」でなく「責務」で動かす。
・リーダーシップって何なのかということになりますね。
これは会社でも、我々の稼業についても言えることです。
頭が切れるだけでも、仕事ができるだけでも、強いだけでもだめで、
それは最低条件であって、人格的な意味で心酔させる力がなければだめでしょう。
リーダーの生き方であり、人生哲学であり、自分を律する強靭な精神力。
それに対して"この人なら"という信頼感が芽生え、この信頼感が心酔に昇華していく。
・組長に対して、会社の社長に対して、上司に対して、
下の者が彼らを盛り上げようとする気構えのない組織は弱い。
このことは断言できます。
・怒り方、褒め方、さとし方といったことは、
上に立つ者は自分なりに分析しなくてはならない。
ガツンと叱って、下の者が反省のことばを口にしたからといって納得しているとは限らない。
相手の地位に頭を下げていることも少なくないでしょう?
ここを見誤ると強烈なしっぺ返しをくらうことになる。
・権利意識の向上で、人間関係が横並びになった現代、ピラミッド型の組織は古いと
言われますが、それは違うと思う。軍隊は階級で、ヤクザ社会は親分の器量で、
そして会社はトップの人格と人望でピラミッドを構築する
・一家においては、私が規律もルールも全部つくることができます。
私を叱責する者は一人もいませんし、私の判断が間違っていても、それを正す者もいません。
私は羅針盤を持たないで軍艦を操縦する船長のようなものです。
だからこそ感情に流されるのではなく、理屈に合っているか、筋が通っているか、
それによって誰が得をし、誰が不利益を蒙るか、
その影響はどこまでおよぶのかといったことを冷静に判断しなくてはならない。
…例を挙げれば、本当にキリがありません。
卓越した組織論、リーダー論、人間関係論、人生論であると同時に、
熊谷氏という一人の男が生き、成長してきた実録としても読み応え十分!
たびたびお伝えしてきたことですが、
異分野のトップに学ぶことは、リーダーの読書にとって大きな意義です。
本書は、ビジネス書のコーナーには並んでいない本ですので、
まさに、読んだ人勝ちと言えます。
この機会にぜひ!
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『ラヴェル:作品集』
(演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ヘルベルト・フォン・カラヤン他)
です。
カンヌの町があるフランスにちなんで、
フランスの巨匠ラヴェルの名曲集を選んでみました。
合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。