中国経済の成長スピードは予想以上の速さで進み、中国とのビジネスチャンスも第二段階に突入している。
そういう状況の中で注目を集めているのが、情報ベンチャーであり、中国人インバウンドマーケティング支援企業の
富士株式会社(眞柄泰利社長)である。「中国富裕層と日本の地域社会の懸け橋となり、価値あるソリューションを
提供し、感動を創造する」を企業の使命と掲げ、企業活動を展開している。
いま、中国とのビジネスチャンスはどこにあるのか。中国へ出向くアウトバウンドの時代から中国人を迎え入れるインバウンドの
時代にビジネスチャンスの兆しが見え始めているというのだ。長期不況が続く日本経済にとって、中国との交流が新たな市場を
創出するという認識はビジネス界の常識である。中でも、相互の情報発信と新しい交流そのものがこれからの巨大なビジネス
チャンスになる。
同社の事業スキームは日本から中国へ向けて、〔1〕中国富裕層にアプローチするクロスメディアの活用(中国最大の
サーチメディアの「百度(Baidu)」 と富裕層の会員制クラブ「RI-STAR CEO CLUB」)、〔2〕Hi日本語ポータルサイトの活用、
〔3〕ビジネス・マッチングによる市場創出である。また、中国から日本へ向けて、〔1〕マーケット・リサーチ(富裕層をターゲット
したデータ)の活用、〔2〕コンサルティング、講習会・セミナーの開 催、〔3〕ラグジュアラリーツアー(付加価値の高い旅行)の
企画・実施、〔4〕中国先進企業の日本への進出、設立の支援など。
「一言で中国の富裕層といっても、きめ細かい定義が必要です。狙いは、中流意識を持つ3億人の中産層と高層住宅などの
ある程度の資産を持つ2億人の中流層 を合わせた5億人超の人々(中間層)です。日本の安心・安全・高品質の商品と
サービスに興味のある層です」(眞柄泰利社長)。第二段階のビジネスチャンス も、この中間層をターゲットにしたビジネス
展開である。
陣頭指揮を執る眞柄社長は、長年、大手のIT企業に勤め、しかも中国でのITの普及に尽力した経験と30代、40代の中国人
富裕層との人脈を蓄積したこと が同社を設立するきっかけになった。眞柄社長は中国の王陽明の言葉「知行合一(ちこうごう
いつ)」を大事にしている。「知って行なわざるは未だこれ知らざ るなり」で、いくら知識があっても、行動を伴わなければ何の
意味もない、ということである。
また、眞柄社長は社員に日々、「ブレイクスルーしろ」と檄を飛ばす。フォーカスして新しい市場を創れ、 が口ぐせでもある。
進歩、前進、障壁を突破することがブレイクスルーの意味である。同社そのものが新しいビジネスチャンスを創出する情報
ベンチャー企業で ある。「行動」「情熱」を持って仕事に当たることが肝心と心得ている。行き詰まりの日本経済に風穴を
開ける糸口になろうと、日中ビジネスの懸け橋の使命を 担う企業の今後に期待したい。
上妻英夫