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社長業

Vol.165 会社の老化現象は、こんなとこにも顕れる

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 プロ野球もJリーグも、毎年のように新人が加入し、新しいスター選手が育ってくる。
 ダルビッシュ投手も当然のように球界ナンバーワンになって、メジャーリーグに行ってしまった。ベテランの安定したプレーを観ているのも頼もしいし、プロの凄さを実感するが、躍動する若手のエネルギーは輝いて見える。
 そして、毎年のようにベテランが引退を表明しグラウンドを去ってゆく。プロである以上仕方が無い事だ。超一流の選手であっても、いつか来る道である。

 我々の企業社会でも、状況は基本的に同じである。ベテランに同じ仕事を任せることは、そこそこの結果を見込めるし、管理上も楽である。しかし、自己否定を繰り返し行い常に大きく数字を伸ばしたり、画期的な取り組みをすることはめったにない。
 人間はほっておけば固定概念の中で、数字の読める安全行動しかしなくなる。

 ただ、スポーツでは技術レベルで、0.1秒、1センチを競う過酷なトレーニングを必要とするが、ルールは基本的に変わらない。
 仕事は、お客様の要求も仕事のルールも、そのお客様自体も変わってくるから、会社は常に変化が当たり前になっていなければ、このグローバル競争を生き残れない。
 変化のスピード、技術の主流、ビジネスモデル、生産地、販売先の国・・・様々な要素を社長として変え続けていかないと、お客様から見限られてしまう。

 先週、ある会社での会議中の会話。

A君「○○工業の見積もり、価格が合わなくて、2回ほど再見積もり出しましたが、
   結局失注でした。」「やっぱり、ウチ高いんですよね」
B部長「外注先は、どこ使ったんだ?××技研か?」
A君「そうです」
B部長「××は、抜群に腕はいいんだけどな~」
《途中省略》
C 「でも、結局他社が、仕事落したんだろ?」
  「どこだ?」「他の外注はあたったか?」
A 「競合先は判りません」「それに、僕は、××技研しか知りませんから」
B 「いや~、××はベテランで、任せられて安心なんですよ」
C 「××以外に、出来ないの?」
  「高くて獲れないんだったら意味ないじゃない!?」
B 「この仕事は精度が命だから、××はすごいんですよ」
  「小さな工場だけど先代の後を、数人でやっていて、独特の技術が~」
(以下略)

 社内の高齢化は目立つ。しかし簡単には新陳代謝は進まない。よって新人の採用、定期の人事異動や多能工化を強制し、少しでもマンネリを防ぐ努力を続けているが、社外には強制できないし、目が届かない。

 上記の会社でもB部長もしくは社長が外注先の戦力分析や、設備の近代化、若手技術者の育成状況などを冷静に分析・判断し、常に新戦力を動員できる状態を作っておかなければならない。
 仕入先も同じである。外注先を含め、中小企業が単独の技術、ノウハウで勝てる時代は終わった。お客様の要求、技術水準は複合化しており、外部の協力体制の優劣が業績に直接結び付く時代である。

 社長が、ハッキリ方向性を示し、新しい戦力を導入しなければならない。社歴が長くなり会社が高齢化すると、取引先も自ずと高齢化している。気をつけたい。

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