ここ1年ほどのなかで、「うちはAIを活用していますよ。」という顧問先が現れ始めました。当然、どこも中小企業です。
「AIを使うなんて、それはまだまだ上場会社だけだ。」
と思っていたら大間違いなのです。
1.AI活用で生産性をアップさせた会社
ある顧問先の社長が言いました。
「先生、うちはもう、全社員がAIを使いこなしていますよ。」
その会社の社員数は、50名弱です。管理・開発部門や管理者で20名ほど、あとは営業人員です。営業人員はエリアを担当して、顧客対応しながら、新規の仕事獲得や新たな顧客開拓も行っています。
その会社が使っているAIは、「業績覚醒AI」というもので、チャットGPTを日本のベンチャー企業が改良して作られました。改良により、入力データが流出しないよう、セキュリティ機能が付与されたのです。
その会社にゆくと、社員同士で
「ちゃんとジピッタか?」というやりとりが聞こえてきます。
「“ジピッタ”て、なんですか?」と聞きました。
「チャットGPTを使いこなす意味で、“ジピル”を“ジピッタか!”とか“もっとジピレ!”とかで使っています。グーグルを使うのを“ググル”というのと同じです。」と、教えてくれました。
その会社の社長に聞きました。
「AIを使うことで何が一番よかったですか?」
「うちのような中小企業はどうしても人材でいうと、AクラスやBクラスの人材より、Cクラスの人材ばかりです。これはしかたがないと思っています。 でも、このCクラスの人材も、AIを使いこなせば、Bクラス並みの人材にはなるんです。これが大きいんです。それだけで、粗利益率が数パーセント、上がりました。」
と社長から返答があったので、加えて聞きました。
「どうして、Bランク人材に上がったのでしょうか?」
「結局、これまでのやりかただと、育成ができていなかったんですよ。うちの事業は社員が分散して行動します。わからないことがあれば、先輩や上司に連絡して確認します。その時に教え方がうまくないとか、何度も聞かれて面倒くさがるとか、バラツキがあります。それがAIならバラツキなく、同じことを何度聞いても、当然ですが、面倒がらず何度でも丁寧に応じてくれます。それがよかったんだと思います。」
確かに、中小企業は人材育成が弱いです。その弱みをAIがカバーしてくれたのです。これまでの約30年は、エクセル、ワード等の計算、図表、文書等のソフトウェアを使いこなすことが、社会人には求められました。それがどうやら、AIを使いこなせるかどうか、ということに代わってきたのです。
となれば、AIを使う会社と使わない会社で、大きな差が開いてくる、ということです。中小企業こそ、AIを使いこなすことで生き残れる、という時代になってきたのです。
2.議事録はAIで作成しなさい
会議にしろ、打合せにしろ、議事録の作成には時間がかかります。業務日報も同様です。最近、複数の顧問作で聞いたのが、
「うちは議事録の作成にプラウドノートを使っています。」との声です。
打合せ内容などを要約して議事録を作成してくれる、生成AIです。ICOでも活用しています。
名刺サイズで、電源を入れてその場においておけば、音声を拾ってくれます。これを使えば、自分の声で原稿を書くこともできます。
使ってみて驚くのは、収録時間の会話内容を時系列に文字にして議事録になるのではなく、収録内容の全体を要約して箇条書き形態でまとめてくれることです。全体の内容から、要約に不要と思われる部分は、きっちり削除してくれます。誤字も時折ありますが、それも修正すればいいだけです。多少の作業は必要ですが、最初から作成することを考えれば、圧倒的に短い時間で議事録ができあがります。
さらに、決まっていないことへの問いかけも出てきます。
「○○について、担当や具体的な日程を決めておく。」
といったことが最後に記載されています。なので、打合せや会議の終了直前に議事録を作成し、漏れているところをメンバーで確認することもできます。
議事録の作成は、それなりの時間を要します。担当者にすれば、時間をとられるので、あまり気が進む仕事ではありません。しかし、このような議事録作成AIが今後も登場すると思われます。精度も向上することでしょう。中小企業であっても手を出せない値段ではないのです。今のうちに一度、このような議事録生成AIの活用を、始めて見てほしいのです。
3.トップがAIを使う会社は浸透が速い
トップがアナログな会社は、デジタル化が思うように進みません。
「わが社のデジタル化やIT化が進まない最大の要因は、社長です。」
という後継者や従業員の声を何度聞いたかわかりません。AIを使うのも同じです。私がこの最近で見てきた、AIを使いこなす会社はいずれも、トップ自らが使っていて、その利便性を実感しているのです。
トップがAIの利便性を実感すれば、社内への浸透スピードも速いです。
「みんなどんどん使え!」と一気呵成に従業員が使い始めます。
その利便性を実感すれば、もう前の状態には戻りたくなります。今、中小企業で使い始めているAIには、それだけの実力がるのです。
いくつかの顧問先で、この4月に入社した新入社員と接する機会がありました。「チャットGPTとか、学生時代に使っていたの?」
と質問すると、なんと全員使っているのです。
「卒論を書くために調べる目的でAIを使ってもいい、となっていました。ただ、卒論そのものをAIで作成するのはNGでした。」
とのことだったのです。つまり、新卒社員にすれば、AI活用はもはや標準装備なのです。これは、昨年の新卒社員までにはなかったことです。
そのような社員が、AIを全く使わない会社に入社すれば、それは悲劇です。どんな技術も、使う機会がなければ枯れてゆきます。逆に、AIを使う環境を提供すれば、これまでにない生産性となる成果を上げてくれるはずです。
AIを普通に使う新卒社員が入社してきた今年は、中小企業のAI活用元年といってもいい節目の年です。その恩恵を獲得するには、まずはトップ自らがAIを活用することなのです。AIという新たなツールをいかに早く使いこなすかどうかが、今後の生き残りのカギとなってくるのです。








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