AIの登場により企業では検索、アイデア出し、文書、議事録、プレゼン資料の作成など仕事のやり方が変わってきているが、パンフレットやWebページなどに使う画像の作成も変化している。
デザインの経験がない人でもAIを使い文書(プロンプト)だけで画像は作れるようになったが、細かい修正などはプロンプトだけでは上手くいかず、画像修正ソフトなどを使う場合が多かった。
しかしAIの進歩は早く、Googleが9月に出した「Nano Banana(ナノバナナ)」では2枚の画像を合成したり、作った画像の微調整などが行えるようになり、外部の力を借りずに社内だけでいろいろな画像を作れるようになった。
私も2枚の画像を合成し、人間の服装やポーズ、顔などを修正した旅行用のパンフレットになりそうなものを作ってみた。
GoogleのAIであるGeminiをアプリから開き、2枚の画像(広島県鞆の浦の常夜燈と人物)をアップロードして合成、人物写真の服装をカジュアルなものに変え、メガネを外したり、ポーズを変更したりした。

この作業ではプロンプトによる変更は8回、指示が上手く伝わらずに最初に合成した画像に一度戻ったこともあり、所要時間は約30分だったが、Gemini側で以前の画像の「一貫性」が保たれているため、修正にはそれほど手間がかからなかった。
これまでAIで画像を作る時に問題だった、ポーズを変えると人物やキャラクターが変わってしまうという欠点がなくなり、服装や背景、ポーズを変えても人物の特徴を保ったまま段階的に画像を修正できた。
■「AIバブル」と「AI活用」は別物
「Nano Banana」のようなAIを使い、外部やデザイン専門部署などを使わずにある程度の質の画像を短時間で作れるようになると、担当者が思い描いたアイデアをその場で画像化し、WebやSNSで即座に発信するなど、時間を大幅に短縮できるし、費用などのコスト削減にもつながる。
背景画像や画像のスタイル、色調、雰囲気をその場でいろいろと試してみることができるため、複数のパターンの画像を短時間で大量に作成して、どれが最も効果的かを「ABテスト」などで試せる。
担当者だけでなく経営者も、サービスイメージや店舗デザインなど頭の中にあるビジョンを画像として具体化できるため、議論を短時間で発展させられる。
AIはパソコンやインターネットがオフィスに入った時と同様、経営判断、マーケティング、仕事の効率化を大きく向上させる道具だ。
IT大手企業のAIデータセンター投資のバブル的な動きと、自社でのAI活用は全く別の動きとして、世間の「AIバブル」的な声に惑わされず、自社のAI活用を着実に進めることが今後の勝負の分かれ目になる。
======== DATA =========
●Google Nano Banana
https://gemini.google/jp/overview/image-generation/?hl=ja





















