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第50講 カスタマーハラスメント対策の実務策㊲『出るところに出る!』第2部

クレーム対応の新知識と新常識

それはカスタマーハラスメントではありません!
⑧『出るところに出る!』《2部/5部作》

 「出るところに出る!」つまり「訴える」という意思を見せている相手に「どうぞ」という考えをもって「同意」を示すことじたいに問題はないのか、むしろ、担当者が、会社のためになんとしても、この客が訴えることを止めなくてはいけないのではないかと、考える必要はありません。

 もし、「どうぞ」と「同意」を示すことに問題があり、会社のために止めた方が良いと思うあなたの内心は、法的専門力をもった第三者にこの問題を評価された時に、自分の会社が否をみとめなればならない状態になっている可能性が高いことを認めているからです。だから、「どうぞ」と「同意」をすることにためらう意識が芽生えるのです。

 なので、お客様が、第三者に評価を求めようとすることは、会社にとって不利になってしまう可能性が高いから「訴える!」という考えをもったお客様を、止めたいと思うのです。

 一旦、ここまでの結論を言っておきます。会社の運営がどうであれ、「出るところに出る!」や「訴えたい」と言った人には、「どうぞ」という気持ちで向き合ってください。それために、この考え方をもっておくと、ためらいは無くなります。

 このお客様が、1つのクレームをきっかけに、この会社を訴えて、その結果、会社の運営のまずいところや、法律違反をしていることが、浮き彫りになってしまったとします。自分の会社が、気づかないうちに正しくないことをしていた、深く考えずにやっていたことが批判されるようなことになってしまった。それらが、浮き彫りになってしまったとします。

 担当者のあなたは、自社の弱点が浮彫りになったことを好ましいことだと認識をしてください。

 つまりこうです。このお客様の訴えがなければ、それらは浮き彫りにならずに会社は過ごすことができたが、このお客様の訴えがなければ、会社は、気づかずに正しくない運営をし続けるということになるのです。気づかないで正しくない運営をしつづける、法律違反をし続ける、批判されることをし続ける、これは、健全な企業運営にはあってはいけないことです。

 でも、どの企業にも、正しくないことを気づかずにやっている可能性がないとは言い切れません。お客様の訴えは、そのことを、わからせてもらえる機会だととらえて、担当者のあなたは、会社がお客様から訴えられることを悲観することがないようにしてください。

 もし、弁護士が関わり、裁判などになったとしても、それは、企業に落ち度があったからですし、その裁判などに負けるようなことがあったら、その原因は、企業の不完全さにあります。

 しかし、その評価をきっかけに、その企業は、再発防止のための改善や改良、これまでになかった変革に取り組むことができるのです。つまり、結果的に、良い会社に変わることができるのです。

 だから、「出るところに出る!」「訴える!」「弁護士に言う!」「裁判にする!」「消費生活センターに言う!」と言われても、企業としては止める必要はないのです。

第49講 カスタマーハラスメント対策の実務策㊱『出るところに出る!』第1部前のページ

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