それはカスタマーハラスメントではありません!
⑧『出るところに出る!』《1部/5部作》
今回のそれはカスタマーハラスメントではありません!と私が言いたい、担当者が困惑するお客様の厳しい言葉としてテーマにするのは、「出るとこに出る!」という言葉です。
お客様が担当者に伝えた企業の回答に納得ができなくて、「出るとこに出ますよ!」と言うことがあります。担当者としてはヒヤリとする瞬間ですね。「出るところに出る!」というのは、言い換えれば、「裁判にするために訴えるよ!」という意味だったり、「今後の対応は弁護士に頼むよ」という意味だったり、「消費生活センターに訴えるよ!」という意味だったりします。なので、担当者は、ヒヤリとするのですね。
第三者に入ってもらわなければならないほど大事になってしまうことに、脅威を感じたり、第三者が、客観的に企業に不利な結論づけをするのではないか、そして、世間に公開するのではないかと想像してしまい、担当者の自分がこの問題を抑えられなかったことで、会社から叱られるのではないかという恐怖心が芽生えたりします。
つまり、自分の会社は悪くない。だから、スムーズに終わる事例だったはずなのに、大事になってしまうことへの自分のふがいなさと、ひょっとしたら第三者から、自分の会社に問題があることを浮き彫りにされ、公開され、その結果、会社が破綻するのではないかと最悪な想像をして、自分にストレスがかかってしまう瞬間だと言えますね。
ところで、そもそも「出るとこへ出る!」と言ったお客様は、どういう気持ちなのかを分析してみましょう。
この言葉を言ったお客様の真意としては、2つのタイプがあります。
まずは、脅迫の効果を想定して、「出るとこへ出る!」と言っているタイプの人がいます。出るとこへ出たら、つまり裁判などにしたら、企業は困るだろうから、自分の要求を呑んでくれるだろうと、自分の思いどおりに対応させようと考えているタイプです。
もう1つのタイプは、自分の主張は正しいので、客観的に第3者に、評価してもらおうではないかという考えを持っている人です。このタイプの人は、もし、第3者が「消費者のあなたに問題がある」という結論を出した場合、その結論を受け止めることができる人です。内心は、自分があきらめなければならないなら、あきらめるが、自分の気持ちに対して、あきらめられる理由が欲しいと思っている人なのです。
ただし、私たち担当者には、どちらのタイプのお客様かはわかりませんので、どちらのタイプの方かしら?などと考える必要はありません。どちらのタイプのお客様であろうと、対応やトークは同じです。というか、どちらにも汎用性のある対応とトークを確立させておくべきです。この場合、どのような向き合い方をするべきかについてお話しをすると、「出るところに出る!」や「訴える!」や「弁護士に頼む!」や「裁判にする!」や「消費生活センターに行く!」などと言われたら、担当者の意図としては「どうぞ。」という気持ちで対応することです。但し「どうぞ」と促す言葉を使ってはいけません。軽々しくない言葉で「どうぞ」と同意の意思表示をすることです。





















