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健康

第3号 「高血圧さんは語る」

おのころ心平の ──社長のための「か・ら・だマネジメント」

 わたくし、高血圧と申します。

 生活習慣病の中で、糖尿病さんと並んで「飛車角をなしている」などと言われてしまっておりますが、現在、日本において、わたくし約3,970万人の方々のカラダにおじゃましております。

 おじゃましております、というより、「上が140、下が90」という血圧の基準を満たされますと、とたんに皆さんがわたくしを注目し始められるのでございますから、わたくしとしましては痛し痒し。

 その昔、高血圧への診断は、上が160、下が95以上を基準とした時代がございました。ところが、1999年2月、世界保健機関(WHO)と国際高血圧学会(ISH)とが、高血圧の診断基準を改めたのでございます。

 これによって、日本では1,600万人程度だった高血圧患者さんが、一夜にして倍以上になってしまったという、笑うに笑えぬ小噺があるほどなのでございます。

 まあ、わたくしにとりましては、皆さんがわたくしに目を向けてくださるのにはうれしい話ではございますが、さりとて、さまざまな病気について、何でもかんでもわたくしのせいにされてしまう最近の風潮には、ひとつもの申したくなるのも心情でございます。

 というわけで、ここで皆様に、上が140、下が90とはいったい何か?を再度、おさらい頂きたいと思います。

 上というのは、最高血圧。これは「収縮」期血圧とも申します。何が「収縮」するのかと言いますと、もちろんそれは心臓さんでございます。

 心臓さんが縮んだとき、大きな動脈にどれくらいの血液の圧力がかかるかを、最高血圧と申しますが、心臓さんが縮むということはすなわち、心臓さんから血液がドっとカラダに放たれるわけですから、血管へのプレッシャーは上がるいうわけでございます。

 一方、下というのは、最低血圧。これは「拡張」期血圧とも申します。心臓さんが「拡張」したときに血管にかかる圧力をそう呼ぶのですが、心臓さんが拡張するということは、心臓さんにたくさんの血液が集まります分、その瞬間は、血管への圧力は低くなるわけでございます。

 まあ、収縮期・拡張期と申しましても、それは瞬間瞬間おとずれておるわけでございまして、収縮期あるいは拡張期が連続して10秒も続くなんてことがありましたら、それでもう、カラダはおじゃんでございます。

 さて、では次に、血圧の単位について知っていただきたいことがございます。

 血圧の単位というのは「mmHg」と表記されます。Hgというのは「水銀」を表す化学記号でございまして、血圧140mmHgというのは、1平方cmあたりの水銀を140mm(14センチ)、垂直に押し上げる力を指すのでございます。

 水銀といえば、かなり比重の重い液体ですから、これを水の比重になおして計算してみますと、140mmHg水銀計血圧というのは、なんと1895mm、およそ1m90cmまで水を押し上げる力となるのでございます。

 1m90cmを超える長さの血圧計など不便でしようがありませんから、コンパクトに水銀計で代用しておるわけでございまして、しかしながら、もし水で計る血圧計がありましたら、たしかにご自身の身長までには血圧をおさめておきたいものでございます。

 そうなると、血圧120ですと、162.4cm。血圧130ですと、175.9cmと相成ります。現在の基準が、至適血圧範囲120未満、正常血圧範囲130未満になっておりますのも、納得の行く話のような気もして参ります。

 さてさて、わたくし、高血圧につきまして、医学者も生物学者も口々に「なぜ血圧は高くなるのか、皆目見当がつかない」と申します。

 みなさんは、「本態性高血圧」などという言葉をご存知でしょうか? 高血圧のうち、95%までが原因不明の本態性高血圧とされておるのが、実情なのでございます。

 えらい大学病院の先生が、「医者は降下剤などをつかって血圧をコントロールすることはできる。だが、高血圧そのものを治すことはできない」と、どこかに赤裸々に書いておられましたが、それもそのはず。95%正体不明のわたくしには、手の出しようがない様子でございます。

 ご承知頂きたいのですが、血圧というものは、いつも一定であるわけではございません。

 日常の生活におきましても、さまざまな動作で血圧は変動しております。

 ぐーんと血圧の上がる動作というのは、1番が「排便」でございます。ウンときばると、確かに血圧のあがるというのは実感の伴うことでありましょう。(青すじを立てる方もいらっしゃいますな)

 排尿、食事、洗面、日常における会話。これもまた、血圧を若干上げております。一日のうちでは、血圧は起床後1~2時間がもっとも高く、就寝後1~2時間がもっとも低いというのが一般的な傾向でございます。

 「血圧」とはつまり、血液の血管への圧力、でございますが、みなさまのカラダには、多様な血管が折りたたまれてございます。太い動脈ばかりではございません。静脈や毛細血管にも、血液は、流々と流れております。

 細い細い毛細血管まで、全部をつなぎ合わせてみるならば、その長さ、なんと9万kmに及ぶと申しますから、驚き以外のなにものでもございません。

 全身に張りめぐらされております血管網。そう、血管は網に例えていただいた方がより実情にあっているのでございます。

 網と心臓とが、お互いを投影しながら、その部分的な結果を都度「血圧」として、表現しておるのです。言い換えるならば、心臓と血管網とは、電子と電子場、生命と生命場の関係。あれあれ、よけいにわかりにくくなりましたな。

 まあとにかく、血圧とは、心臓の力と血管の柔軟性の織り成すシンフォニー。このようにお考え頂けますと、わたくしとしては、はなはだ気分がよいのでございます。

 心臓だけではなく、血管だけでもない。「両者の関係」に、血圧は顔を出すのでございます。

 お年寄りになりますと血圧が上昇する傾向にございますのは、毛細血管の網の柔軟性によるところが大きいのでございます。若いころに比べると、どうしても毛細血管の網は縮む傾向にございますから、心臓さんとしては、その分を押し広げようと血圧を上げてがんばるのでございます。

 すなわち、高血圧とは、「心臓の毛細血管の広げ力」と言っても過言ではありませんでしょう。ただ、心臓さんばかりに負担をかけてしまうのも、これまた本意ではございません。

 毛細血管は、じつは自ら成長する力を持っておりますから、そのためには、「歩く」「足や腕の筋肉をストレッチする」「深い呼吸をする」などが本当に効果的なのでございます。

 そして、ここがわたくしのもっともお伝えしたいことなのですが、毛細血管の容量を増やすには、細胞の隅々まで血液をお届けする意識が大事なのでございます。これは転じて、身の回りの隅々にまで「思いやり」を持つこと、と言い換えることもできます。

 高血圧…。たかが、はなくて、されど、高血圧。

 血圧のコントロールはお医者さんにお任せするとして、本態的なことは、ご自身でこそ取り組みたいものでございます。

 
 ※おのころ心平氏に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
  Q&A形式で、このコラムにて回答させていただきます。なお、重篤な疾患など
  コラムで取り上げにくい内容は、個別での回答とさせていただきますので、ご了承ください。
  質問あて先メールアドレス(担当:高橋)/etsuko@jmca.net  

 

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