1.『お客様が神様かどうか』『お客様の声が宝かどうか』を決めるのは、『お客様ではなく、企業』なのです
「私は客よ!」「それがお客様にとる態度なの!」なんてお客様が電話の向こうで興奮して、大きな声で言うことがあるけれど、この言葉の背景にあるのは『企業にとってお客様は神様でしょ!』という慢心。
今の時代や、人の意識を考えて、私の持論は『お客様と企業は『対等関係』にある』ということ。消費者は気に入らない企業と関わらないようにするべきだし、企業は考えの合わない消費者が近付いてくるようなことしないようにしなければならない。それが、適正な消費生活の運用に結びつく。
だから『お客様と企業は対等関係』であるべきだし、事実『対等』です。その中でも、企業にとって本当にありがたいお客様もいるし、意見もある。その場合は、「いいお客様だったなあ」と感慨を深めることがあるでしょうね。その時点で、このお客様が善良な神様のような心を持った人だったのか、この意見が企業の危機を救う一助を担う神様からのお達しのような意見だったのかの評価が決まるのです。
つまり、このお客様が神様かどうか、この意見が企業にとって宝と言えるのかどうか、それは、企業が決めることであり、客が決めつけることではないのです。
だから、企業の担当者もお客様とは『対等関係』であることを前提とした態度をとるべきだと思います。その態度とは、どのお客様にも『礼儀正しい態度で、敬わない態度』を取ることだと思っています。
2.どのお客様にも『礼儀正しい態度と、へりくだらない態度で』対応することを推奨します
どういう態度のことかとわかりやすいポイントでお話をすると、敬語の使い方です。私は受講者に『礼儀正しい言葉を使い、敬う言葉を使わない』ようにすることを指導しています。
具体的な言葉で言うと、当たり前な対応に「させていただきます」を使わない。「いたします」と言うこと。「数点お伺いさせていただきます」「お調べさせていただきます」「明日、検査結果のお電話をさせていただきます」などと言うのをやめること。
過剰に下手に出た態度をとっておけば、相手が機嫌が良くなり興奮が鎮まり、和解できるのではないかという姑息な意識がミエミエで、もともと冷静だった相手の気持ちさえ逆なでします。
「させていただきます」を使わないと、事務的な会話になってしまうという担当者の恐怖感は、最適なクッション言葉を使っていない証です。つまり、自分の持っている語彙の少なさが原因です。
お客様対応・クレーム対応は、相手の機嫌を良くして興奮を鎮め、事態を和解に至らせるという姑息な意識があって当然の仕事ですが、ミエミエにならないようにして運ぶのが、クレーム対応担当者の技術です。