論語に“人、遠きに慮りなければ必ず近き憂いあり”とある。即ち人は遠い将来での配慮がないと
必ず近いうちに心配事がある。
また、三国志には“溺るるに及びて船を呼べば、之を悔ゆるも及ぶ無し”とある。
即ち、水に溺れてから船を呼んで救いを求めても手遅れであり、後悔しても追いつかない。
つまり災難に遭う以前にそれを対する備えをしておきたいものである。“会社が傾いてから会社幹部の会議が
連日のように開かれる”これは手遅れになっている。いくらでも準備の時間はあったはず。
まさか、それに気づかなかったわけではなかろう。
“安くして危うきを忘れず、存して亡ぶるを忘れず。治まりて乱るるを忘れず”
これは易経にある教えだが、経営の責任ある者が、この教えを知らないことは無かろう。
知って行わないなら、怠慢のそしりを受けることになるだろう。
“聖人の戒めを為す、必ずまず盛んなるときに”とある近思録にあるものだが、聖人が戒めを行うのは
必ずことが盛りの時である。絶好調の時の慢心、油断が災禍の源となっていることを戒めた言葉である。
“勝ってかぶとの緒を締める”の言葉は子どもの頃に教えられたもの言葉であるが、長じて大人になってから
忘れ去ってしまう。好調に酔ってかぶとの緒どころか、かぶとまで取り去ってしまうのである。
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