春の観光シーズン真っ盛り。円安により外国人観光客が増加し、観光立国を目指す国策Visit Japanの成果も挙がっている。豊富な観光資源を活用して外国人観光客を呼込むことは、景気刺激と国際収支の改善にもつながり重要な施策だ。
訪日外国人旅行者の増加を目的にVisit Japanキャンペーンが2003年小泉内閣時代から続いている。当初目標は2013年までに訪日外国人旅行者(インバウンド)を1,500万人、将来的に3,000万人だったが、リーマンショックと世界同時不況、東日本大震災と原発事故が続き目標に程遠かったが、2013年でインバウンド1,036万人を達成(2012年世界33位)。
日本は、2011年度で国内旅行消費額22.4兆円を創出する観光大国だ。これは付加価値誘発効果23.7兆円、名目GDPの5%に相当し、雇用創出効果397万人と生産波及効果も46.4兆円に上る。世界全体では観光業売上高は約6兆ドル、GDPの9%に相当し、2億6,000万人の雇用を創出。この数は被雇用者の12人に1人に匹敵し、自動車産業より大きく、金融業界を少し下回る。
日本は一見、観光大国でもその内容には問題が。訪日外国人旅行は国内旅行消費額22.4兆円のうち1兆円、全体の4.5%に過ぎない。これは英国の18.1%や米国の13.8%と較べて低い貢献度。日本からの海外旅行者(アウトバウンド)1,699万人に対して、日本を訪問するインバウンドは約1,000万人とバランスが悪い。
欧州諸国は陸続きで海外旅行客呼込みに積極的なので、フランスはインバウンド8,300万人(2012年)を誇る世界第1位の観光大国だ。日本の現状は観光立国の緒に着いたばかりでも、世界の都市間競争の激化は待ったなしの状況。貿易収支が赤字になる時代、同じく赤字のサービス収支を立て直すために観光業が果たす役割が見直されている。インバウンド観光を通じて日本の良き理解者を海外に増やすことは、短期的には日本の農産品や食品・化粧品等の消費財輸出拡大になり、中長期的には日本のビジネスインフラの強化に好影響が出るはずだ。 以上