昨年の日本株の値上りと1月から開始したNISA(少額投資非課税制度)が話題になって、株式や株式投信への関心が高まっている。これまで株式投資を経験してきた個人投資家といえば、熟年の資産家富裕層を思い浮かべるし、現実にNISA口座開設者の大半はこの層で占められている。
投資信託の販売に関しては、従来から金融機関も「保有資産が大きくて営業効率の良いシニア層」に営業攻勢を掛けてきた。しかし、今後の日本経済のためには、「少額な資金でも若年層の新しい投資家層」を株式市場に呼込む努力が欠かせない。現在の優良顧客も、通常は年齢と共に保有資産を老後資金として生活費に取崩すことになるからだ。
ところで、投資信託は購入時だけでなく保有期間中も手数料がコストとして発生していることをご存知だろうか。この手数料は投資信託の販売や運用、資産の保管に係る関係者の収入になるが、その金額は投資信託の種類や投資先によって大きく異なる。手数料分だけ私たち投資家の受ける収益は低下し運用成績に影響するが、その負担は決して小さくない。最大で販売手数料が3.5%程度、信託報酬と呼ばれる毎年の運用管理手数料が1.75%程度にもなる場合もあるのだ。
手数料が高いのはアクティブ運用と呼ばれるタイプ。市場平均を上回る運用成績を追求して、ファンドマネージャーという専門家が積極的に運用する。当然、高額報酬のプロが銘柄選択や売買に係るので、投資家の負担する手数料も高額になる。一方、日経平均株価や東証株価指数など市場に連動するように設計されたパッシブ運用タイプ(またはインデックスタイプともいう)もある。このように一定のインデックス(株価指数)に連動するようプログラムされ、機械的に運用する場合の手数料は低額である。
問題は高額な手数料でありながら、市場平均に劣る運用しかできないアクティブ運用の投信が多いことだ。金融機関も手数料収入を当て込んで、顧客に対して高額な手数料の投信を推奨する傾向があるとも聞く。投資初心者の場合には、先ずは「株価指数に連動して結果が分りやすい」、「手数料が低額」という観点からインデックスタイプの投信から選んでみてはどうだろうか。そして、最近の金融市場は様々な理由から変動率が大きく、変動周期も短くなって難しい環境にある。投資時期を分散することができる『積立投資』の仕組みを忘れずに、焦らず堅実に資産運用を始めて頂きたい。 以上