アメリカのグーグル(G)、アマゾン(A)、フェイスブック(F)、アップル(A)という4大IT関連企業はそれぞれの頭文字を取ってGAFAと呼ぶことがある。一方、中国の百度(B)、アリババ(A)、テンセント(T)の3社の呼称であるBATに、ファーウェイのHを付け加え、私はこれら4社をBATHと名付けている。
BATHの成長は著しく、GAFAを猛追している状況だ。特に上場済みのBATの時価総額は2017年の1年間で倍増し、2017年12月末時点の額を合計すると1兆米ドルを超えている。
個別で見た場合、GAFAの時価総額に続くのは、アメリカ企業を除くと6位のテンセントと8位のアリババのみだ。米中企業以外を見ていくと、ヨーロッパ企業の最上位は18位のオランダのロイヤル・ダッチ・シェルで、時価総額は2746億米ドルである。トヨタは42位にランクインしており、時価総額は1891億米ドルだ。ヨーロッパ勢も日本勢も、米中のトップ企業からは大きな差をつけられていると見ていいだろう。
では、中国のBATHがアメリカのGAFAを追い越す日はやってくるのだろうか?次頁の表1が示すように、利益額ではすでにアリババはアマゾンを大幅に上回っている。時価総額ではアマゾンに及ばないアリババだが、いずれアマゾンを凌ぐことになるだろう。
テンセントの場合、売上額も利益額もすでにフェイスブックと大差がない。今のペースで成長が続けば、2、3年以内にテンセントがフェイスブックを超えることが現実的となる。
注目すべきなのは、百度とグーグル、ファーウェイとアップルの格差である。百度の2016年度の売上額と利益額はそれぞれグーグルの11%、8・6%に過ぎない。ファーウェイの場合は、研究・開発費はアップルを上回っているが、売上額と利益額はそれぞれアップルの36・4%、12・2%である。百度もファーウェイもライバル超えは短期的には難しいだろう。
現時点では、中国のBATHはアメリカのGAFAには勝てないが、日本のライバル企業に対しては圧倒的な強さを見せつけている。
配車アプリ、シェア自転車、ドローン、出前サイト、民泊、通信機器、ネット通販、検索エンジン、SNSなど、9大分野の日中トップ企業比較してみた。それをまとめたものが次頁の表2である。どの業種を見ても、中国企業に数字の上で圧倒的な差をつけられている。
結論を言えば、現時点でニューエコノミー分野では日本には中国のリーディングカンパニー9社に対抗できる企業は存在しないのだ。