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ビジネス見聞録

講師インタビュー《キーエンス流「付加価値経営」と生産性を高める法》田尻望氏

ビジネス見聞録 経営ニュース

 営業利益率50%強を誇る超高収益企業「キーエンス」出身の経営コンサルタント・田尻望氏に《「付加価値経営」と生産性を高める法》について、お聞きしました。■田尻 望氏(たじり のぞむ)氏/株式会社カクシンCEO
 大阪大学卒業後、(株)キーエンスにて、企業の生産性を上げ、収益を最大化するための業務システム構築に携わる。その経験から高収益を上げる企業には、高収益に繋がる社員の思考と行動を操る「儲かる構造」が業務に組み込まれていることを発見。メーカー・住宅・整骨院・飲食コールセンター・システム会社など、業種業態に合わせた「生産性の向上策」によって、2ヶ月で6,000万の利益改善、1年で10億円の売上向上など目覚ましい成果を上げている。

社長は今すぐ実践すべき!付加価値を生み出す2つの思考

「付加価値経営」を実践する上で、まず初めに社長自身が心がけておくべき事について教えてください。

 これは、私の人生の理念の一つでもありますが、「人とは何か、世界とは何か、自分とは何か」をしっかり考えておくことだと思っています。

 例えば「人とは何か」について、人は何に対して喜んで、何に対して悲しむのか。これを“探求し続けること”が重要です。人=お客様が本当に求めていることを日々、想像し続けることが「付加価値経営」の基礎にあるからです。

 BtoBのパターンに応用してみると、取引先の“目的は何か”、“会社のビジネスモデルは何か”を徹底して考えることができますね。これが「付加価値経営」を実践する第一歩です。

 お客様がIT企業の場合、目的はもちろん成長ということになるかもしれませんが、そのIT企業が持っている商品やサービスによって、“誰のどんな問題を解決して、どのような価値を世の中にもたらそうとしているのか”という会社のビジネスモデル、さらにそのビジネスモデルの成功について探求していくと、そこに“企業の価値を生み出す本質”が見えてきます。

 そのビジネスを成功させたいが、達成できてないという問題がある時、それがニーズになります。そこを探求していくと、「自分の会社が提供できる価値」が生まれてくるのです。

 まとめてみると2つです。「人とは何かについて理解し、追求し続けること」、「お客様の会社のビジネスモデルの成功とは何かを、追求し続けること」。これを社長は日頃から実践して欲しいと思います。

高収益をつくるカギは「付加価値」にあり

社長が抱える悩みや企業の課題について、最近、どのような問題が多いでしょうか?

 本当に一般的な形ですが、「営業利益率が低いんです」と相談されることが多いです。「売上は何100億とかありますが、営業利益率が1%前後です。何か次の事業への投資を考えてみるとか、従業員に対して給与を上げるなんてことができません」という悩みです。

 利益率が低いために、新たな施策、新商品をつくるための投資ができない、投資するにもそれに対しての時間・余力がない、人材もいない…みたいな形になってしまっているのです。

 もちろん会社によって取り組むべきことは異なりますので、詳しくはお答えできませんが「付加価値をつくる」ことが、会社を良い方向に導くための一つの解決策になります。高い価格でもお客様に喜ばれるような「付加価値」のある商品・サービスを提供できるかがカギです。ぜひ『付加価値を生む経営』(CD版・デジタル版)をお聞きいただければ幸いです。

 そのほか最近は、若手の離職が多いとか、若手が簡単には言うこと聞いてくれないとか、若手のやる気がない、という相談を受けることも増えてきたように思います。

ライフプラン研修で視座を引き上げる

モチベーションの上がらない若手社員の育成法について教えてください。

 お勧めは「ライフプラン研修」を受けさせることだと思います。

 仕事に対して前向きになれなかったり、モチベーションが上がらなかったり、それによって辞めてしまう若手社員が出てきてしまうことに対して、その原因は、“今ここの自分しか知らないから、今ここの自分しか考えていないから”ということにあります。

 これは私の感性ですが、今生きているからいいや、ここに入れてるからいいや、そして自分一人だったらいいや、という考えがあるわけです。

 つまり、意識が将来に向いていない状態です。そこで、ライフプランをしっかり決めさせる。未来軸を広げてあげると、“適切な危機感”が出てきます。

社員のやる気を高めて「生産性向上」

 適切な危機感とは何なのか。

「今22歳だよね、32歳になった時、何の成長もしてなかったとしたらどうなる?」と。周りで言うと、自分の親も10歳年を取って、友達も10歳年を取って、同僚も10歳年を取っている。自分だけ能力もそのままで、役職もそのまま。周りは係長か課長職でしょう。32歳だったら、年収400万から500万ぐらいでしょう。その中、自分は新卒と同じ給料です。

 それを42歳まで延ばしてみると、42歳の時に友達は課長職か部長職でしょう。年収1,000万を超える人も出てくるでしょう。親は20歳年を取っています。70代か80代かもしれませんね。

 親に支えてもらうことも不可能な状態になる。しかし、その時にまだ自分は新卒の時と変わらない能力という状態になった時、ゾッとしますね。これを52歳、62歳、72歳…と続けていくと、みんな青ざめていきます。青ざめたところで、「皆さん22歳に戻りましょう」と。

 「成長する人生とそままの人生どっちを選びますか」と聞いたら、全員が“成長する人生”と言います。つまり、的確な情報を与えてあげれば、これからの行動が変わってくるのです。 社員が成長するための「仕掛け」や「仕組み」をつくることが社長の役割です。研修やOJTに活かしてください。さらに、究極を言えば“辞めたくないと思えるような、付加価値のあるいい会社”をつくることです。

 結局は、「仕組み」があり、それに対して人がしっかりと動けるか。人が育っていけば生産性も上がるし、会社の利益も上がります。高収益企業の秘密はこのようなところにあります。

付加価値を上げれば、給料が上がる!

改めて付加価値経営の魅力について教えてください。

 付加価値こそが利益の源泉です。これは強く感じて欲しいと思います。利益の源泉ということは、最終的に利益が私たちが生活する上での給与になってきます。

 今、話題になっていますが、日本がなかなか賃金が上がってこなかった理由の最たるものが、「付加価値とは何か」を理解することなく長い間、経営を続けてきた結果だと思っています。

 だからこそ、一人一人が「付加価値というものが何なのか」、つまり人の役に立つものが何なのかをしっかり考えて欲しいと思っています。その役に立つことによって収益を得ることができたとすると、人を幸せにしながら利益を得ることができる。その状態を体系化して学ぶことがとても大切です。

 私自身、いろんな会社を支援させていただいていますが、「付加価値とはこんな解釈なのか」と、付加価値のいうことを知らなかったという社長が多いが現実です。
「付加価値」を学び、理解することで、圧倒的に強い会社をつくれるのです。

ビジネス見聞録WEB4月号 目次
p1 収録の現場から 〈福岡雄吉郎「オーナー社長の賢い節税100の打ち手」音声講座〉 
p2 講師インタビュー 田尻望「《「付加価値経営」と生産性を高める法》」
p3 今月のビジネスキーワード「SNS戦略」
p4 令和女子の消費とトレンド「令和のベビー市場はなぜ堅調?①育児を支援する「ベビーテック」市場
p5 展示会の見せ方・次の見どころ

3分でつかむ!令和女子の消費とトレンド/【第14回】令和のベビー市場はなぜ堅調?①育児を支援する「ベビーテック」市場前のページ

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