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第12回 湯西川温泉(栃木県)インスタ映えする冬の風物詩「かまくら祭」

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■平家落人が身を隠した歴史ある温泉地
 「確実に雪が積もっている温泉地に行きたい。どこかいいところはある?」。今の季節になると、このような質問を受けることがよくある。その地で暮らす住民にとって雪はやっかいな存在だが、旅人にとっては旅情を誘うエッセンスになる。
 
 こんな質問を受けたとき、いつも第一候補として提案するのは、栃木県日光市にある湯西川温泉だ。栃木の名湯・鬼怒川温泉からさらに電車とバスを乗り継いでたどりつく辺鄙な場所に湯けむりを上げている。
 
 壇ノ浦の合戦に敗れた平家の落人が、河原に湧き出る温泉を見つけ傷を癒したと伝えられる歴史の古い温泉地。落人が身を隠すような土地だから山深く、積雪も多い。
 
 普段はひっそりとした静かな温泉地だが、毎年1月下旬~3月の「かまくら祭」が開催される時期には、温泉街は多くの観光客でにぎわう。
 
■幻想的な「ミニかまくら」の絶景
 かまくら祭の期間中、温泉街には飲食を楽しめる大きなかまくらがつくられ、さまざまな雪を活用したイベントが用意されている。
 
 なかでも必見なのは、「沢口河川敷のミニかまくら」。夜、温泉街の河川敷につくられた数百個もの小さなかまくらの一つひとつに、ろうそくの明かりが灯る。
 
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 無数のオレンジの光がゆらゆらと揺れる風景は幻想的で、まさにインスタ映えする絶景。「日本夜景遺産」にも認定されている。

 湯西川温泉に宿泊している観光客は、雪が降り積もる中、わざわざ宿から出てきて雪の絶景を楽しむ。雪深い土地にわざわざ行きたくないというのが一般的な感覚だろうが、マイナス要素を逆手にとって温泉街を盛り上げるという発想がすばらしい。

 ところどころかまくらのろうそくが消えてしまっているのはご愛敬。ろうそくに1個1個、明かりを灯していくのは大変な重労働だろう。その苦労を想像すれば、この絶景の価値がわかる。ちなみに、今年は3月3日(水曜日、木曜日を除く)まで、かまくら祭は開催されている。

■露天風呂から「氷瀑」の絶景を拝める老舗宿
 湯西川温泉には二十数軒の宿が軒を連ねるが、なかでもおすすめしたいのは創業1666年の老舗宿「本家伴久」。代々、平家直系の子孫により継承されて、当館主は第25代にあたるという歴史ある宿だ。

 本家伴久の温泉は歴史のある湯として知られる。820年前に発見されたとされる湯西川の源泉。その場所こそが、男性露天風呂「藤鞍の湯」だとされる。湯西川発祥の湯は、源泉かけ流しと循環式の併用で、川に手の届くほど間近に感じられる露天風呂である。アルカリ性単純温泉のシンプルな透明湯だが、冷え切った体を温めてくれる。

 冬場は、この露天風呂に絶景が現れる。滝などが氷結してできたものを「氷瀑」というが、藤鞍の湯の対岸に巨大な氷瀑を見ることができる。実はスタッフが人工的につくっているそうだが、いくつもの氷の柱がそびえ立つ様は見事。夜はライトアップされて幻想的だ。

 夕食は別棟の囲炉裏端でいただく。炭火焼の囲炉裏で岩魚や餅のほか、山椒と野鳥と味噌などを練りこんだ「一升べら」をいただく。一へらで一升飲めるほどの味わいから、同宿の24代女将が発想、命名したものだという。濃厚で野性味あふれる一升べらで、日本酒も進む。

 冬場は雪に囲まれた温泉地だが、その代わり厳しい寒さがつくる絶景を楽しめ、温泉のぬくもりを再確認できる。冷え込みが厳しい季節こそ、温泉のありがたみと魅力を存分に体感したい。

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