不動産業界で勝ち残る為には社員の質を高める「人材育成」が大切だと前回このコラムで申し上げました。
今回は質を高めた社員をどの様に活用して会社を発展させるのかをお話致します。
不動産業界の中堅不動産会社の経営者の方々はよく『 不動産の仕事は「体力勝負」だから1件でも売ってこなければ
会社に戻るな。』と社員にハッパをかけている様子を目に致しますが、私はもうその時代は終わったと肌で感じています。
現にその様な会社はどんどん衰退の一途を辿っています。
私の実体験から申し上げますと「販売力より物件の質」をまず上げる事が大切だと感じています。特に「分譲マンション」や
「戸建の建売」の場合は物件の質が悪ければ、どんなに販売に人材を投入しても売れ行きは良くなりません。
「分譲マンション」や「戸建の建売」の場合、物件の質が良ければ「口コミ」等で顧客の方から
購入したいと言ってこちらに来るケースが多いのです。
中堅不動産会社の場合はブランド力が弱いので「鞄セールス」(訪問販売)が主戦力になっている会社が多いのですが、
物件の質が良ければ売れ行きは顕著によくなります。
「こんな論理は当然。」と言われると思いますが、往々にして中堅不動産会社の上層部の方は「物件の質の良さ」が具体的
に分っていらっしゃらない様に見受けられるのです。
「物件の質の良さ」とは「建物の質」が良いだけではありません。「立地の質」が良くなければ、どんなに「物件の質の良さ」
が有っても販売に結びつきません。これが一番大切な事なのです。
現に超大手不動産会社でも「分譲マンション」や「戸建の建売」の「立地」が悪ければ「物件の質」が良くても、もはや
「ブランド力」だけでは売れずに完成在庫の山になっています。
前回も申し上げた様に用地仕入れ担当者(社員)の質を高め、将来売れる土地かどうかの目利きに育て上げる事が非常に
大切です。用地仕入れ担当者に良い土地情報を持ってくる人脈を作らせる事が経営者の腕なのです。どうも、中堅不動産
会社の用地仕入れ担当者は、良い土地情報提供者との付き合いが少ない様に思われます。
今までの「しがらみ」で用地仕入れをして「ノルマ」をこなしています。新たに良い土地情報提供者を開拓するという向上心が
見受けられないケースが中堅不動産会社では多いのではと感じます。この点を上層部の方が改善する方向に指導し、自ら
実践すれば良い土地情報が集まり「質の良い物件」が事業化できるのです。
何度も申し上げますが「物件の質の良さ」とは「建物の質」だけでなく「立地の質」が大事なのです。
ここで「建物の質」の良さで一番大切なのは「クレーム」の出ない「設計」及び「施工」です。ちなみに、私が「設計監修」
(コンサルティング)をする時はまず「クレーム」が出そうな所を改善させます。その後、想定顧客(ターゲット)が喜ぶ
「コンセプト」を提案し、住戸プランを作り直します。その様にすれば「安打」や時には「ホームラン」が出せます。
どんなに「デザイン」や「プラン」が良くても「クレーム」の山では、一瞬で「会社の信用」を落とします。一瞬で落とした
「会社の信用」を取り戻すには最低10年はかかります。
2010年は不動産業界にとっては多難な年になりそうです。「販売力」も大切ですが「立地」「建物」双方の質が良くなければ
「勝ち残れる会社」にはなれないと確信しておりますので肝に銘じて下さい。
次回は『 社長が「裸の王様」になったら会社は衰退する。』をテーマにしたコラムをお届け致しますので楽しみにして下さい。
皆様、良いお年を御迎え下さい。
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碓井民朗