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第62回 登別温泉(北海道) 5つの泉質と35の浴槽が楽しめる「絶景温泉」

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■温泉地に恵みをもたらす「地獄谷」

 登別温泉は北海道を代表する温泉地だ。いわゆる「湯街」を有する温泉街が少ない北海道にあって、登別の温泉街は実に賑やかである。
 高層の大型ホテルが立ち並び、土産物屋や飲食店が並ぶメインストリートは観光客の姿が目立つ。コロナ禍によって外国人観光客の姿はめっきり少なくなったが、それでも道内一の人気温泉地として活気にあふれている。
 温泉街の近くには、登別温泉の代表的な観光スポットである「地獄谷」がある。噴火によって生じた爆裂火口の跡からは、高温の温泉や強い硫黄臭を放つガスが噴き出している様子を見学できる。
 その規模は、直径約450m、面積約11ha(甲子園球場2.8個分)を誇る。白い蒸気が噴き上がっている光景を見ていると、地球が秘めたとてつもないパワーを実感せざるをえない。
 地獄谷からは、さまざまな泉質の温泉が1日1万トンも湧出し、温泉街のホテルや旅館などの温泉施設に給湯されている。この光景を見学した後に入浴すると、温泉が大地の恵みであることをあらためて実感できるはずだ。

■圧倒的スケールとロケーション

 そんな地球のパワーを、体感できるのが、地獄谷のいちばん近くに位置する老舗旅館「第一滝本館」。登別を代表する大型宿泊施設である。
 2フロアに及ぶ大浴場は、なんと1500坪というケタ違いのスペースで、大小35の湯船が並ぶ。スケールの大きい北海道らしい浴場である。私は、すべての湯船に浸からないと気がすまない性格だが、さすがに全部の湯船を制覇することはできなかった。
 旅館の規模が大きく、日帰り湯も受け付けているため入浴客も少なくないが、あまりにも広大なので、まったく窮屈さは感じない。
 第一滝本館の凄みは、スケールの大きさだけではない。湯船に注がれる温泉も個性的だ。地獄谷から引いてきた湯は、硫黄泉、芒硝泉、酸性緑ばん泉、食沿線、重曹泉の5つの泉質(旧泉質名)に分かれており、それぞれの湯船で異なる源泉を楽しめる。
 肌にやさしいアルカリ性の湯から、殺菌作用のある酸性の湯までバリエーションも豊かだ。5つ以上の泉質を有する「温泉地」でさえなかなか存在しないが、「ひとつの温泉施設」で5つの泉質の源泉をもっているというのは、きわめてまれなケースである。「温泉のデパート」といっても言い過ぎではないだろう。
 しかも、湯はかけ流し。泉温が高いために加水しているので、若干、温泉本来のパンチ力は弱まっている感もあるが、これだけ広大な浴槽をかけ流しでまかなうことができるのだからすごいとしか言いようがない。
 数ある湯船の中でも食塩泉が注がれる展望風呂は「絶景温泉」である。巨大なガラス窓の向こうには、地獄谷の荒涼とした光景を間近に望むことができる。これまで日本各地でたくさんの眺望自慢の温泉に入ってきたが、トップクラスのロケーションだといえる。
 地獄谷から湧き出した湯に浸かりながら地獄谷を望む――。温泉のパワーを、視覚でも肌でも体感できるのだから贅沢きわまりない。

■ふらっと立ち寄れる温泉銭湯も

 もっと気軽に登別の源泉を楽しみたいなら、温泉街の並びにある「夢元さぎり湯」がおすすめ。ふらっと立ち寄れる銭湯風情の日帰り施設である。
 大浴場は内湯のみだが、室内には硫化水素の強い香りがプンプンと漂っている。湯船が3つ並び、2種類の源泉がかけ流しにされている。
 ひとつは一号乙泉(硫黄泉)。灰色がかった白濁湯は、少し熱めでキリッとした酸性の特徴をもつ。もうひとつは目の湯(明ばん泉)。乳白色の美しい湯で、泉温が低めなので少しマイルドな入浴感である。どちらも甲乙つけがたい。
 入浴後、硫化水素の香りに包まれたまま温泉街や地獄谷を散策してみよう。温泉情緒と大自然を同時に感じられるはずだ。

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