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社員教育・営業

第54講 カスタマーハランスメント対策の実務策㊶
『これを棄てろっていうことか!』第1部

クレーム対応の新知識と新常識

それはカスタマーハラスメントではありません!⑩
『これを棄てろっていうことか!』《1部/4部作》

 さて、今回のカスタマーハラスメントではないけれど、担当者が困惑するお客様の厳しい言葉で、カスタマーハラスメントのように錯覚してしまいやすいテーマは、「じゃあ、私に使うなって言うの!」「これを棄てろっていうのか!」という言葉です。それでは、まず、機械製品を購入したお客様のお申し出を想定しましょう。

 お客様が製品の不具合の連絡をしてきたので、「調査のためにお預かりいたします」と担当者が言ったら、「じゃあ、これがない間はどうしたらいいの?」と言われたり、「もう部品がないので、修理ができません」と担当者がお伝えしたら「じゃあ、この機械を棄てろっていうのか」と言われたり、「その製品は製造中止です」とお伝えしたら「じゃあ、もう私に使うなってことですね」と言われたりしたことはありませんか?

 「勝手に会社の都合で決めている!」「たった一人の客も大切にできていない!」という意図をもって厳しい言葉を言われた経験はありませんか?

 企業がたった一人のお客様のために取り組むことは簡単ではありません。その製品を製造するのにかかる時間と労力と原価などの問題は、企業にいつもつきまとう問題です。まして、たった一人のお客様のために、何かを作るとなると、大きな不利益が発生します。大きな不利益を出してまで製造すべきことかどうかの判断が必要となります。よくある結果は、その一人のお客様のために製造をしても、企業にとって、金銭的にも、イメージ的にもメリットがないと判断し、一人のお客様のための製造はお断りするということです。つまり、消費者が思うほど、企業は、消費者に親切ではないのです。消費者に親切ばかりをしていると、企業がつぶれてしまうからです。そんな背景をもっているので、お客様の要望をお断りすることも企業としてはあるべき姿なのです。

 最も担当者にとって気が重い事例は、修理部品がない機械製品の故障をお伝えする場面ですね。お客様に「その製品が販売停止となって10年がたちます。その修理部品はありませんので、修理対応はいたしかねます」と言う場面はよくあります。

 するとお客様は「それじゃあ、この機械はもう使えないってこと?その部品があれば、まだこの機械は使えるのに、部品1つのことで、この本体を棄てろってこと!?」どのお客様もほぼ、こう言います。そう言いたくなるのが、人として普通・当たり前・常識・デフォルトです。理不尽な話しではありません。

 だからこの人は、今のところクレーマーでもカスタマーハラスメント客でもありません。むしろ担当者は「部品が手に入りません」とお伝えするときには、「それじゃあ、この機械はもう使えないってこと?その部品があれば、まだこの機械は使えるのに、部品1つのことで、この本体を棄てろってこと!?」と言われることを折り込んでおかなければなりません。

 もう何十年も、お客様が激高することがわかりながらも、「製品が古いので部品が手に入らない」とお伝えすることは、変わっていないのです。

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