それはカスタマーハラスメントではありません!
「売ったら売りっぱなしだ!」「客に泣き寝入りをしろということか!」《第1部/4部作》
担当者としては、カスタマーハラスメントだと言いたくなるかもしれないけど、カスタマーハラスメントではない相手のトーク。今回取り上げるトークは、「売ったら売りっぱなしだ!」「客に泣き寝入りをしろってことか!」の2つです。どちらの言葉も、担当者としては返事につまってしまう相手の言葉ですね。
これまでは、実務者はこんな風に言葉を返してきたことでしょう。
「売ったら売りっぱなしだ!」と言われたら「申し訳ございません」と言っていたり、「それじゃあ、客に泣き寝入りしろってことか!」と言われても「申し訳ございません」と返してきたと思います。
「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」というこの2つのトークは、このお客様のご希望通りの対応が不可能なので、担当者がお断りする場面で投げかけられる言葉です。だから、クレーム対応担当者のあなたは、これまでに、何度か言われた経験があると思います。そのたびに、恐怖と焦りで内心、混乱しながら対応してきたことでしょう。
なぜ、恐怖と焦りで混乱したかというと、実は、お客様のその言葉を、覆せるものがないからです。言い換えれば、お客様のこの言葉だけを切り取ると、どちらかと言えば真実に近い。でも、担当者として、認めるべきか、抵抗するべきか、どちらが良いのか対応の方向を定めることが、瞬間的にできなかったので、言葉に詰まってしまったのです。
ここで、言っておきます。相手のご希望をお断りした時に「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」などと言われたら、担当者のあなたは、認める対応をしてください。世の中には、いろんな消費者がいます。その現象を、『消費者の多様化』に対応すると言います。
『消費者の多様化』に対応するということの正解は、すべての状態を一旦、受け止める意識を基に、さまざまな消費者の声を一旦、浴びることを折り込んで運営をしていくことです。
しかし、すべての対応を否定しない対応にすることは、状況によっては無理なこと。なので、一方では、『企業はすべての消費者を満足させることは不可能である』ことを、織り込んで運営してくことも必要だといえるのです。つまり、消費者から不満の声が届いても当然と考えておくことです。
なので「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と、あるお客様に言われても、「しかたがない」「そう言われることは、あって当然」という意識を会社と担当者は持っておかなければならないのです。まず、そのことを認識していただかないと、全4作のこのテーマのコラムを理解することが難しくなります。