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社員教育・営業

第196回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方120『相手の立場で考える一言が仕事の質を変える』

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手




前回、「『分かりました』で終わらせない確認の習慣について」お話しました。今回は、「相手の立場で考える一言が仕事の質を変える」についてお話します。

 特に、話し方の言葉遣いの重要性・素っ気ない感じ・パワハラにならないようにするコツなどについて考えてみようと思います。

〇話し方の言葉遣いの重要性
 何といっても、言葉は有史以前から人生の大先輩たちが人との意思疎通のために苦心してかつ大切に育ててきた大きな財産です。そして今もなお成長し進化し続けているといえます。私が言葉遣いで導入に使うのは、『昨日の夕食のメニューについて言葉を使わずに、隣の人と説明しあってみてください』です。文字やイラスト禁止の条件を出しますから、巡回するとほとんどの皆さんが困ってしまっています。でもこれは、困ってしまうことを体験していただきたいために導入していますので目的は達成です。普段はほとんど気が付かないほど身近な存在の言葉が、人との意思の疎通にどれほど大活躍しているかをわかっていただけます。これを基本の基本として、他者とのコミュニケーションの仕方に繋げていきます。

 このとき忘れてはならない大切な事は、皆さん何だと思いますか?コミュニケーションですから、絶対的に『相手が必要』です。誰しもそんなことよく分かっているとお思いでしょう。でも本当にあなたはそのような振る舞いができているでしょうか。

 突然、世界の人口の話をしますが、頭の中に「?」を浮かべずに読み進めてください。
世界の人口がきりのよい80億人になったのは、2022年頃だそうです。私はこの80億人中の何人と今生に出会えるのか・・・とふと思いました。パソコンで本日の人口を調べたところ、すでに82.8億人ほどに増えています。ということは一生で出会える人は、世界人口から見れば本当にほんのわずかです。

  そこで私は、「たった今、目の前で出会えている方との関係は、せめて最高の感謝の中でコミュニケーションを紡ぐ」と決めました。すると、本日も新しい方とお目にかかりましたが、その方への関心が確かに今までと異なりました。私はその方にめぐり合うまでの時間にまず関心が湧きました。その方がここにくるまでの交通手段は何だった?・お食事はゆっくり召し上がれた?自社までの道で迷わなかった?などと今まで出会った方に思いをめぐらしたことより沢山のことに関心を抱けている自分に驚きました。

   昨日と同じ私なのに、考え方の視点を変えただけで関心の強さが断然変わりました。ということはすでにやり取りのある相手とも、とても速やかに今までの関係を変えられると自信を持って言えます。今生きているほとんどの人とめぐりあえずにお互いが生涯を終えていく現実に抗えないなら、その分めぐり合えた方との関係を納得のいくまで大切にすることにエネルギーを使えばよいのです。

 人は人の感情に敏感です。あなたが相手を想う一言を加えられるか加えられないかで、あなたからの仕事の依頼に対するモチベーションが如実に変わります。例えば、

「この資料、午後2時までにやっておいてくれる?」
➡「○○さん急で申し訳ないけれど、この資料午後2時までに隙間時間を使って仕上げてもらえると助かるのですが。どう?これやれそう?」(一方的に用件を伝えるのではなく、名前を丁寧に呼んでいます。どう?と相手の意向も尋ねているため、時間的に少しきついと相手が感じていてもYESをもらいやすいです。少しの表現の差が大きな差をもたらします)

〇素っ気ない感じ
 これについては、言葉の問題だけではなく、音声表現の問題もあります。例えば、風の強い地域や雪の多い地域など、生活環境によって声の出し方や話し方に特徴がでることもあります。対策としては、自分の話したい文章を人に話すイメージで録音し、自分で気をつけたところがそのとおりに聴こえたかのチエックをします。伝える時には抑揚も必要です。録音してみると、自分では抑揚をつけたつもりでも、実際には素っ気なく聞こえてしまうことがあります。

  言葉に相手を思う気持ちが感じられない表現と、音声としての素っ気なさが重なってしまうこともあります。この時は本人の温かい気持ちとは違った印象になってしまい、とてももったいないことです。女優・男優になったつもりで少し表現を意識してみるのも一つの方法です。

〇パワハラにならないようにするコツ
 ハラスメントの問題が日本で取り沙汰されるようになってからおよそ35年位経ちます。
ハラスメントは色々な場面での嫌がらせやいじめを意味しますが、パワー・ハラスメントをはじめとして今では数えきれないほどのハラスメントの種類があります。参考までにそれらの一部を挙げると、パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラ・ジェンハラ・アルハラ・リスハラ・ケアハラ・ジタハラ・モラハラなど枚挙に暇がありません。パワー・ハラスメントをパワハラと略して世の中に出回るので、聞いたとたんすぐに分からない用語も多いです。

  この中のパワハラ・セクハラ・マタハラはすでに、厚生労働省の労働施策総合推進法に基づくパワー・ハラスメント防止措置が中小企業の事業主にも義務化されています。令和8年10月には、カスハラ(カスタマー・ハラスメント)の施行が予定されています。

 世の中が何となく世知辛くなるにつれて、人間関係も変わってきています。(もちろん、良い方向にも変わっている点も認められます。でもバランスが取れているかというと、残念ながらそうではありません)社会情勢も加わり、個々の人の心に「ゆとり」がなくなり、「関係性が崩れていく傾向が強くなってきていると感じます。例えば同じ言葉であっても、関係性があれば「指導」と受け取ってもらえます。関係性がなければ「パワハラ!」と言われてしまいます。良い人間関係を作ることが、パワハラにならない一番のコツではないでしょうか。そのためには「相手の良いところを素早く見つけられる私」になりましょう。最初はたった一つでも大丈夫です。自分にはない「○○さんのこんなところがすごい!」を探してください。

  「人は十人十色」です。いろいろな角度で探せます。一つの「すごい」を拡大して良好な関係作りをすぐに開始できます。○○さんの一つがすごいと思うあなたは、きっとその気持ちを感じ取ってもらえるでしょう。あなたのその気持ちは相手に向けるアイコンタクトに乗っているはずです。

自分が変わらないと相手を変えるのは難しいです。小さなコツを、ゆっくり時間をかけて大きなコツへ仕上げていきましょう。

 最後に、現場で実践できる具体例、上司が部下に仕事を依頼するときの良い例と良くない例を挙げます。見くらべてください。

「さっき仕上げてもらった資料の5ページ目のここ、ちがっていたから修正しておいて。95ではなく75!」
➡「○○さん、今いい?さっきの資料すぐしあげくれて有難かったけど、ここが95ではなく75だったので修正してください。フリーハンドの私の字が読みにくかったかな。もう一度お願いします」
 人は感情の生き物です。お互いを思い合い相手の立場を考えた一言が、仕事の質そのものを変えていくのです。

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