menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

社員教育・営業

第88講 担当者が疲弊しないクレーム対応のためには(2)

クレーム対応 実践マニュアル

取引企業とのクレーム対応、消費者とのクレーム対応、製品サービス別、メンタルヘルス…「クレーム対応の初期対応法」を学べるCD教材、ダウンロード教材を発刊いたしました。ぜひ、コラムをお読みの方々にご活用いただけましたら嬉しく思います。

●「クレーム対応のプロが教えるクレーム対応の基本シリーズ」へ

 

担当者が疲弊しないクレーム対応のためには(2)
(※月刊『消費者情報』2014年12月号の中村友妃子原稿から一部抜粋と加筆)

担当者が疲弊しないクレーム対応のためには、クレーム対応での最悪のゴールを織り込んでおくこと

【3】『希望をかなえられない事例のゴール』は『あきれてあきらめて快く引き下がっていただくこと』

クレーム対応担当者が最も悩む『お客様の希望をかなえられない事例』が目指すゴールは、『あきれてあきらめていただいて引き下がっていただくこと』である。
希望をかなえられない事例なのに無理なゴールを目指したりすると、必要以上にその事例に疲弊させられることとなる。つまり、『希望をかなえられない事例』には『理解していただく』とか『満足していただく』というゴールは存在しないということをクレーム対応担当者は心得ておくことが重要である。
だから、製品やサービスや企業を理解してくれないからと言って、理解していただこうと過剰に苦労することはない。目指すのは、理解していただくことではなく、引き下がっていただくことだからだ。


【4】『あきらめるのには時間が必要』『引き下がるのには理由が必要』そのことを織り込んで対応する

そして次に重要なのは、ひきさがっていただくために使えることを持っておくこと。
つまり、『引き下がる理由』を与えることが必須だということ。
お客様には、担当者とのやりとりの中で、「なんて企業なんだ!」と思いながらも「あきらめるしかない」という気持ちが徐々に芽生えてくる。
しかし、あきらめられないのは『あきらめるための時間が足りない』からであり、引き下がる気にならないのは『引き下がる理由が見つからない』という事情があるからだ。
だから、相手の苦情や不満の話に一定の時間つきあい、相手に引きさがる理由を差し出すところまでが担当者に必要な作業だということいえる。
相手が引き下がる理由として効果的なことと言えば、「あなたが私の話をよく聞いてくれたから」という理由だったり「担当者が提案をさしだしてくれたから」という理由だったりすることが多い。この現象から、担当者は相手に寄り添うような態度を強調したり、相手に先手の提案をすることが目指したゴールにたどり着きやすい対応と言える。


【5】理解し合えない相手と別れる。理解を求めて引き止めない。お互いが不幸にならないために。

覚えておいてほしいことの最後は、誠実に対応し、説明も豊かにし、何度も調査を重ねて報告をしているのに、企業の出した結論に対して、納得に至らない様子の消費者とは、別れるというゴールもあること。消費者の感性は多様化している。なぜなら消費者がその契約に至った事情が多様化しているから。事情の多様化と共に人格の多様化も高まっている。それらが背景となって、企業と理解し合えない消費者も出現することは不思議ではない。そして理解し合えない消費者と理解し合おうという考えを持たないことが、今の時代とても重要な考え方。単なる人間関係で置き換えてたとえれば、相性の合わない相手とは関わらないということになる。レベルの高い消費者であろうと、理解が弱い消費者であろうと企業で対応しきれない消費者に対して「分かり合わなければいけない」と思うことをやめるようにすることだ。
お互い別れていき、忘れていくこともクレーム対応の1つのゴールにすることもあってもかまわないという考えを持っておくことである。
そうすることが、自分が疲弊しないクレーム対応のカギとなる。私は、自分で自分のことが救えない者に、消費者を救ったり、会社を救ったりすることはできないと考えている。まずは、自分の心身が疲弊しないことを目指してクレーム対応のスキルアップに励んでほしい。なぜなら、クレーム対応は感情で対応するのではなく、スキルというテクニックで対応し終結させるものだからである。

中村友妃子          


a500282_nakamurac-p.jpg

※中村友妃子講師のクレーム対応教材「クレーム対応の基本」シリーズMP3・CD・DVD はこちら

 

第87講 担当者が疲弊しないクレーム対応のためには(1)前のページ

第89講 なぜ『ケーキやパンに髪』の偽クレームを約7000回も繰り返すことができたか(1)次のページ

関連セミナー・商品

  1. 月刊CD経営塾バックナンバー 2016年5月号

    音声・映像

    月刊CD経営塾バックナンバー 2016年5月号

  2. 「女性リーダー養成プログラム」ネット配信講座

    音声・映像

    「女性リーダー養成プログラム」ネット配信講座

  3. 製品・サービス別クレーム対応《家電・携帯電話篇》

    音声・映像

    製品・サービス別クレーム対応《家電・携帯電話篇》

関連記事

  1. 第62講 クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(2)

  2. 第81講 クレーム対応成功の法則はまず『親身的対応7つの手順』で運ぶこと(9)

  3. 第49講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ  筆者体験事例(2)

最新の経営コラム

  1. 第29回 地方で作って都心で売っている

  2. SNS時代だからこそ、心を込めて届けるアナログ〈手書き〉に価値がある

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年10月2日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    危機への対処術(12) 改革の軸足(マーガレット・サッチャー)
  2. 健康

    第48号 ボディサイコロジー ~カラダ心理学(2)
  3. 採用・法律

    第63回 『えっ?!本当?男性育休の義務化??』
  4. 経済・株式・資産

    第30回 ビジネスにおけるデータ解析の価値を実証する100円ショップ「セリア」
  5. 社員教育・営業

    第66回「コミュニケーションを身につけるために必要な事」
keyboard_arrow_up