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36軒目 「地裏で看板がないのに100席を満席にする店」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

裏路地で看板がないのに
100席を満席にする店
 
 
「希味」(京都・四条烏丸)
 
shikumi36_01.jpg 京都四条烏丸の程近く、室町という寂れた呉服街がある。灯りのまったくない路地だ。友人の松村さんはこの界隈で生まれ育ったそうだが、彼をして「こんな 場所で店をやる人はいません」と言わしめる。そんな場所に、看板もなく、100席もある客席を満杯にする店がある。「創作料理と寿司の希味」だ。
 
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 私の事務所で「夢―商通信」という繁盛店を取材してビデオにまとめるコンテンツをやっているが、実は「希味」を5年ほど前に取材した。このころの「希 味」は違う場所で洋食の創作料理の繁盛店だった。20皿以上の料理をコースで提供して3000円という驚くべきコストパフォーマンスであった。
 
 その場所が立ち退きになり、違う場所に移った。連日予約で一杯だった店は、少し店が小さくなり、次の展開を考えるようになったとオーナーの藤原さんは言う。ちょうど、いい町屋の物件を見つけたのがこの店だった。
 
 藤原さんはアルバイトやパートをしている女性スタッフから「寿司屋に行きたいけど、寿司屋は値段がわからないので行けない」とい話を耳にした。「確かに 安い店もあるけど、店に行くことに馴染まないと怖くていけないな」と思い、この店の構想を思いついたそうだ。
 
 「若い人に雰囲気のいい店にゆっくりお腹一杯寿司を食べて欲しい」それがコンセプトだ。店の料理は基本、2000円と3000円。4000円と5000 円があるが、予約をしていないと食べられない。いかに、2000円、3000円にこだわっているかがわかる。
 
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 料理は、以前の「希味」同様皿数が多い。合計20種類の料理を出すというスタンスは変えていない。前菜から始まり、これでもか、これでもかと料理は続く。いっぱい料理が出てくるのがわかっている私ですら、「まだ出てくるのか」と思うほどだ。
 
 そして、〆は寿司だ。寿司懐石だと、寿司は少し少なめに出すが、「お腹いっぱいになって欲しい」という「希味」には少なめという言葉は存在しないようだ。
 
shikumi36_08.jpg デザートだって、二品でる。粋な店でお腹一杯になりたいなら、ぜひお立ち寄りください。満席の日が多いのでくれぐれも予約はお忘れなく。 HPはこちらより
 
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