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戦略・戦術

第14回 「継続経営」に必要なロマンとそろばん

継続経営 百話百行

継続する企業を見ると、二宮尊徳氏が言われたとされる
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」を、地で行っているようです。

継続経営には、数値(利益追求)だけでは続かないですし、はたまた、想いや気持ちだけでも続かない何かがあるようです。

つまり、「収益」と「理念」この二つ両方がバランス良く存在することが継続経営には必要なようです。

この2つがある会社で、どのように「収益」を上げる仕組みをつくっているのかを見てみたいと思います。

「収益」を上げるのに、長く続かないと今では常識になりつつあるのが頭ごなしの数値管理です。

「売上げ目標 いくらいくら」、「現在の数値は?」「現在、目標に対して40%未達で、残りいくらです」「そんなに不足していてどうするんだ!!」「何とかします」「何とかするって、営業の電話本数は足りているのか?」と、プロセス管理を数値でギシギシ詰めていくパターンです。

これは、経済が右肩上がりの場合には通用しました。しかし、競走馬のお尻をたたいて無理矢理走らせても、長くは続かないようです。

なぜなら、「自分は、これをずーっとやり続けるのか?無理だ」と、従業員がついていけなくなる。

もう一つは、「自分は、これをずーっとやって、本当に幸せになるのか?結局は会社のための利益ではないのか?」というパターンです。

しかし、利益、数値はすごく大切です。それがないと、存続しないのですから。では、長く続いているところはどうしているのか?

「数値目標のすり替え」が上手なのです。

人間は、「売上げ」など直接なお金を数値目標にすると苦しくなるようです。これは、心理的影響があるからなのですが、それは、また今度ということにして「売上げ」だと苦しくなるので、売上げ数値をすり替えるのです。

例えば、ある会社は「客数」にすり替えました。

「売上げ」目標ではなく、「客数」目標です。昨日の売上げいくら?ではなくて、昨日の客数はいくら?にしたのです。すると苦しくなくなるようです。

ある会社は、「お礼状の枚数」にしました。

というように、「収益」に直結するが、お金とは違う数値を目標にしているのです。
じつは、これが、本当の経営者の仕事なのです。

どうすると収益が上がるか?

 ↓
○○をすると良い
 ↓
この○○を数値管理する
 
というステップです。このようなことをコンサルティング先で徹底して経営者と考えると、目に見えて社内の雰囲気と業績が変わってきます。
 
世界一のテーマパークは、昔、「シャッターの数」が目標だったようです。
 
それは、世界一のテーマパークは、リピート率の高いビジネスです。だから、今いるお客様が満足して帰られるのが一番収益に結びつきます。満足をするのに、どんなことが良いか?というのが、「シャッターの数」で、それは、積極的にお客様と接しているか?お客様から声をかけてもらいやすいような雰囲気でいるか?すべて網羅している「すり替え」目標だからです。
 
確かに理にかなっています。
 
次の事例です。
 
「ビジネスモデルは、アメリカで学び、伝統は、ヨーロッパで学び、そして、アジアで実践する」 の考えの基、アメリカに毎年学びに行きますが、新しいビジネスモデルは、アメリカでしか生まれないと言っても過言ではないくらい、アメリカはビジネスモデルが進んでいます。
それと、もう一つ、アメリカは多民族国家で、英語を上手に話せない人は8.7%いる(「米国地域社会調査」(ACS)より)ので、いろんな仕組み作りがとてもわかりやすいため、勉強しやすいのです。
 
その中で、何度か訪問させていただいているサウスウエスト航空は、世界で最も素晴らしい企業ではないか?と思える会社です。
 
何が素晴らしいかというと、「世界の航空会社308社中、世界でただ唯一40年間も赤字になったことがない航空会社」(会社数は2010年現在)であり そして、34歳までにで9.2回転職するというアメリカで、この会社は離職率5%以下なのです。
 
そこの会社をいろいろ見学させてもらったときに、「数値管理」で、すごいと思ったのです。
それは、至る所に、ホワイトボードがあり、そのホワイトボードには、全部署が同じ数値を管理しているのです。従業員44,831人(2013年)の超大企業なのにです。
 
数値管理のボードの写真です。
 
keizoku14no1.jpg

 

keizoku14no2.jpg

人は、経理、CAの控え室、事務所いたる所で見ました。そして、このボードでは、3つの数値を管理しているそうです。

それは、

  1. クレーム件数
  2. 定時発着率
  3. 荷物の紛失率

だそうです。ここでも、売上げ目標はなく、他のもので数値管理をしていました。しかし、マネージャーに聞くと、明確に言っていました。「この3つの数値が良ければ、必ず収益は上がる」と。

そして、この会社では、もう一つ勉強させてもらいました。ホワイトボードに数値が書いてあると、通常いろんな会社では、数値目標は、数値そのものに、焦点を当て、その数値になった理由を問いただすことが多いようですが、この会社は「数値の内容」ではなく「ホワイトボードに数値が書いていないよ」と、数値管理ではなく、数値記載管理をしていたのです。

目標数値さえ明確になっていて、それが目に入りさえすれば、人は無意識にどうしたらよいかを考えるからです。

師匠の船井幸雄先生がよく言っていましたが、人には、「1:1.6:1.6の2乗の法則」があると、これは、いろんな実験をして見ると

他人から強制されて、いやいややった時の仕事量=1 とすると
他人からの命令でも、納得してやったときの仕事量=1.6
自分で計画に参加し、納得してやったときの仕事量=1.62乗
になるというものです。

まさに、サウスウエスト航空は、「自ら動く、大人の集団」だったのです。

まー本当に、すごい会社です。今年も7月に、視察に行く予定です。その時のレポートもここに書きますので楽しみにしていてください。

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