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- 第5回 偽ニュース
3月9日に「Science」誌に発表された「The spread of true and flse news online」という、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者による論文は、2006〜2017年に公開されたtwitterの書き込みを調査し、その中で真偽の判定がされた12万6,000件のニュースを分析している。
これによると、偽ニュースは正しいニュースより多くの人に、より速く広まり、何層にも渡ってリツイートされていることがわかった。
数字で見ると、正しいニュースは1,000人以上に広まることはめったにないが、偽ニュースの拡散度合い上位1%は、ほぼ1,000〜10万人の人びとに拡散している。
偽ニュースが1,500人に拡散するまでの時間は正しいニュースの6分の1、偽ニュースがリツイートされる割合は正しいニュースの1.7倍で、リツイート数では偽ニュースが常に上回っている。
広がりやすいニュースの分野は、政治、都市伝説、ビジネス、テロと戦争、科学技術、エンターテインメント、自然災害の順で、2012年と2016年の米大統領選や、2014年のロシアによるウクライナ・クリミア半島強制編入の時期に特に増えていた。
また、ロボット(ボット)は偽ニュースも正しいニュースも同じように拡散する傾向があり、偽ニュースを広めているのは人間で、その特徴はフォロワー数が少ない、フォロー数が少ない、ツイートの頻度が低い、認証ユーザーの割合は少ない、アカウントの保有期間が短い人だという。
これらの原因特定は今後の研究に委ねる必要があるが、人間はポジティブなニュースよりもネガティブなニュース、平和なニュースよりもショッキングなニュースを広めやすい傾向にあることは一般にも知られている。
twitterの記事に付けられる書き込みの分析からは、偽ニュースには驚きや不快感を示す書き込み、正しいニュースには悲しみや期待感、喜びや信頼といった感情が込められた書き込みが多いようだ。
昔から根も葉もない噂が広がることはあるが、ネットとスマホの普及でその速度と規模は比較にならないほど大きくなっているため、影響も大きい。
■YouTube
動画サイトのYouTubeでも、「関連動画」に陰謀論的コンテンツが表示されやすくなっているのではないかと言われている。
ここでも「政治」分野の動画の際に、極端な動画が関連欄に登場する割合が多いようで、逆に「菜食主義」や「ジョギング」などの動画では、関連したコンテンツが表示されるとのことだ。
ネット社会の現在では、自分が偽ニュースの拡散に関わったり、偽ニュースを信じてしまわないようにする必要があるが、これは簡単ではない。
======== DATA =========
●「Science」誌
The spread of true and flse news online