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第52回 能力―開発できるのか、生来のものなのか

欧米資産家に学ぶ二世教育

音楽の習熟度に関しては「生まれつきの才能」が大きくものをいうと多くの人が思いこんでいるに違いない。しかし、音楽を学ぶ275人の若者を対象にしたイギリスでの調査によれば、「生徒が音楽的にどれだけ熟達できるかどうか予想できる唯一の要因はどれほど多く練習するかであった」だそうだ。この調査を紹介しているコルヴァン氏はモーツァルト、イチロー、タイガー・ウッズ、いずれも幼少期からの「父親による徹底したトレーニングの成果が主要因である」とその著書「究極の鍛錬」で述べている。

非常に興味深い逸話がある。ハンガリーの教育学者ポルガーは「偉大な能力を持つ人は生まれながらにそうなったのではなく、つくられるものだ」という自説を証明するためにお嫁さんを公募した。生まれた3人の娘にチェスを教えている。1960年代当時チェスは男性の競技であったが、早期よりの厳しいトレーニングを受けたポルガーの娘たちはいずれも、優秀なチェスプレーヤーとなったという(長女と三女はグランドマスターに、二女は才能にあふれていたが一番訓練に熱心でなく、結果女性世界6位に終わった。)

音楽家やチェスの競技者と比べて経営者に先天的な要素が要求されるようには思えないが、それでも「素質的には次男が・・」といった類の発言を耳にする。果たして幼少時より決断力、リーダーシップ力、胆力などを鍛えることはできるのであろうか?発表力、デイベート力、交渉力などは訓練可能に思える。そうした訓練やまた実地での体験も積まさせもせず、「修羅場をくぐってないし、経験がないから」とバトンタッチを躊躇う人がいる自分の身の保全以外の何か特別な理由でもあるのだろうか。

茶道、華道、歌舞伎、能などの日本の伝統文化において、なぜかくも長期にわたり継承がされてきたか。必ずしも全員が才能に恵まれていたとは思えない。やはり幼少時よりの厳しい訓練のたまものではないだろうか?

二世に対する批判が強い昨今である。しかし、幼少時からの訓練という意味では、本当にキチンと為されていればだが、二世に分があるのである。

投資の鉄人ウォーレン・バフェットの父親は証券会社勤務、彼自身11歳から株式投資を始めている。先日テレビでみた動画コンテストでは、おむつをした赤ちゃんがピンポン台の上に座り上手に球を打ち返していた。両親ともピンポンの選手との事だった。経営者、特にファミリービジネスを持つ人はもっと幼少時からの訓練を施してみてはどうだろうか。

 榊原節子 

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