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- 第62回 嗅覚センサー
人間の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)の中でデジタル化が進んでいるのは視覚(画像やビデオ)、聴覚(通話、音楽)だ。
触覚に関しては、以前訪問したスタンフォード大学が開発した、人型潜水ロボット「OceanOne」に装着されたロボットアームアームを体験したが、これは触れた物体の重さを伝える触覚フィードバックや、触れたものの凸凹やツルツル感を感じられる触覚データの転送ができた。
それに対して難しいのは味覚や臭覚とされていたが、最近は各所から香り(匂い)センサーが登場し、スマホにつける臭覚センサーや装備したロボットなどが今後は登場しそうだ。
■noseStick
2020年10月1日~11月30日まで、b8ta有楽町で匂い測定デモを体験できる「noseStick」は、2019年から匂いセンサーとAIを組み合わせた「においセンシング事業」を推進しているI-PEX社と、凸版印刷が開発したアプリによるスマートフォンに挿し込む匂いセンサーだ。
b8ta有楽町では手のひらの匂いを測定し、年齢層別に比較するデモを行っているが、果物などの収穫時期の判断、工場などにおける異臭検知、口臭チェックよる健康管理、鮮魚店などでの商品鮮度チェックなどにも利用でき、アイデア次第で応用範囲は拡大しそうだ。
においセンサーは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の薄い圧電膜に感応膜を塗布した検知素子10種類をのせた感応膜に電圧をかけて共振させると、におい分子が付着すれば共振周波数に変化が見られるため、その時の数値データを取得し、パターンを照合しにおいを識別するという仕組みのようだ。
今後は小型・低コスト化が見込まれるため、検知素子の数を増やすことでより多くの匂いを識別できる可能性があるとのことだ。
■REVORN(レボーン)
長崎大学発の「REVORN」は、2016年に設立された「香り」を定義し、新しい世界へ導くことを目指した香りAIスタートアップで、独自開発のセンサーによって「香り」を情報化し、AIで解析する。
世界中の「香り」データを使用し、「嗅覚」の領域に新しい定義を築き上げることにより、新しい産業の誕生を目指している。
人間の五感のデータ転送は、ロボット、IoT、在宅勤務、リモート会議などの新たな可能性も切り開くものと期待される。
======== DATA =========
●I-PEX
●凸版印刷、匂いセンサを次世代体験型店舗「b8ta」へ出展
●b8ta
●REVORN
●人型潜水ロボット「OceanOne」