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第63回 ロビンフッド

社長のメシの種 4.0

 アメリカでは、ロビンフッド(Robinhood)というスマートフォンアプリを使った株式投資が若者を中心に増加している。
 ロビンフッドは売買手数料が無料、売買単位が大きな銘柄でも1ドルから投資が可能で、操作や売買がゲーム感覚でできるため、株式投資の初心者でも気楽に始められ、今年1〜4月には利用者が300万人増えて、現在は1,300万人以上が使っている。
 
 利用者の平均年齢は31歳で、半分は初心者といわれており、米ネット掲示板のRedditなどの投稿を参考にする人も多いようで、同じ銘柄に売買が集中する事例も見られている。
 5月22日に米連邦破産法11条に基づく破産手続きに入り、5月26日には、終値で過去最低の0.56ドル(高値から97.24%の下落)まで下げていたレンタカーのハーツ(Hertz:ハーツ・グローバル・ホールディングス)株が、6月8日に破綻前の2.2倍にあたる6.25ドルまで上昇した原動力にロビンフッドがなったとも言われている。
 
 手元資金がなく、これまで株式投資とは無縁だった若者達に株式取引のチャンスを与える「金融の民主化」を謳って、2013年にスタンフォード大学の二人の学生によってスタートしたロビンフッドだが、収益の40%以上は顧客の注文データを他のHFT(高頻度取引会社)へ売却して得たもので、その事実をユーザーに対して十分に開示していなかったとSEC(米証券取引委員会)が調査を始めているし、ゲーム性のあるデザインによる常習性・中毒性も指摘されている。
 
■コロナバブル
 世界的な新型コロナウィルス感染拡大によるロックダウンや、緊急事態宣言などで経済が停滞している中でも、アメリカ株は新高値更新を続け、実体経済と株式市場の乖離が起こっているが、私はこれを「コロナバブル」と呼んでいる。
 各国政府、中央銀行は失業や景気対策として膨大な資金を市中に供給しているが、この一部が株式市場などに投入されて株価を上昇させていると考えているからだ。
 
 現在の状況は、2000年問題対策費用が株価を押し上げた「IT(ドットコム)バブル」とその崩壊を思い出させる。
 現在のアメリカの企業収益と株価の乖離もITバブル期に近いし、ウォーレン・バフェット氏が株価のバブル度を測る指標とする、株式時価総額の対GDP(国内総生産)比率も、ITバブル期の1.6倍を越えて第2次大戦後の最高水準にある。
 
 ワクチンや治療薬など、新型コロナウィルス感染症を抑え込む方策がまだ確立されておらず、金利も世界的に低水準が続く中で、コロナバブルは当分は続くと考えられるが、今までの経験からもバブルは必ず崩壊するもので、その時に「ロビンフッド族」と呼ばれている若者たちにも影響が及ぶのではないかと心配している。
 
 
 
======== DATA =========
 
●ロビンフッド(Robinhood)
https://robinhood.com/us/en/
 
●ハーツ・グローバル・ホールディングス株価
https://jp.reuters.com/companies/HTZ.N

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