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製造業

第281号 「後工程はお客様」を100回唱えるより、実際に次の工程を見よ。

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

 【急所37】「後工程はお客様」を100回唱えるより、実際に次の工程を見よ。(92頁)
 
 私は今回のテーマである「後工程はお客様」という言葉を社会人になってすぐに知りました。1974年に会社に入ったので、ちょうど40年前のことです。当時は工程という概念もあまり理解していなかったのですが、この言葉を聞いて、「なるほど!うまいこと言うなぁ...」と思ったことを覚えています。
 
 しかし、この「なるほど!うまいこと言うなぁ」のような分かり易く歯切れのいい言葉は、逆にその良さが故に、実際に後工程に行ってもいないうちから分かった気になってしまうことも多いようです。実は私がそうでして、その言葉を早速仕事で使い始めましたが、本当の良さを自分の足で確かめて実感したのは、だいぶ後になってのことでした。
 
 279話「設備はチューンナップできて一人前。内製化でオンリーワンを目指せ~その1」において、同様の「分かった気になってしまう」例をあげましたが、あまりに分かり易い言葉というのは逆に危険な時もあるのですね。
 
 冒頭から自分自身のなさけない事例をあげましたが、もちろん今はこの言葉の大切さはしっかりと理解しています。理解どころか、コンサルタントとして主要な武器の一つとなっています。
 
 私は現場改善をする時に、作業も見ますが一番注意してみるのは「流れ」です。すなわち、工程の中の作業だけを見るのではなく、前の工程と次の工程の間の様子を見ながら移動して、そこにある運搬や在庫の問題を見つけて改善をしています。
 
 そして、この見方が在庫やリードタイムの改善につながります。前後の工程を連続的に見ることで、それぞれの工程内だけを見ていたのでは気付かない大きな改善が生まれるのです。
 
 これについて、C社の事例をご紹介します。第一工程のプレスの人たちと一緒に、第二工程の溶接現場に行きました。すると、溶接の人たちがプレス作業の際にちょっとだけ残った表面の油汚れを丁寧にふき取っていました。
 
 それを見たプレスの人たちは、自分たちは注意したつもりだったけれど、溶接工程ではそこまで表面をきれいにする必要があるのか、知らなかった!と気付いて表面に油が残らないような改善が始まりました。
 
 次に溶接の人たちと一緒に第三工程の塗装現場に行ってみると、塗装の人たちが溶接の際に表面に付いたスパッター(溶接中に飛散する金属粒などのこと)を丁寧に取り除いていました。
 
 溶接現場では以前から製品の表面にスパッターが付かないような改善もしていたし、目に付くようなスパッターはないと思っていましたが、塗装工程では目に見えないレベルであってもスパッターが少しでも付いていると塗装後の不具合になるので、更に細かい目で見ていたのです。
 
 それを知った溶接の方たちが、すぐにさらに細かいスパッター対策を打ったのは言うまでもありません。
 
 そして最後は、塗装の人たちと第四工程の組み立て現場に行ってみました。すると、組み立ての人たちが塗装済みの製品を傷がつかないように丁寧にコンテナから取り出していました。
 
 それを見た塗装の人たちは運搬に便利という理由でコンテナを使ったけれど、もっと後工程の人たちに使いやすい方法を考えようということになって、工程間で容器への出し入れを発生させず、その上取り易いハンガーを導入しました。
 
 いかがでしょうか? 「後工程はお客様」を知ってはいるけどやってないということがありませんか? 
 
 ぜひとも新しい目で、後工程をみんなでご覧になってください。きっと素晴らしい改善が生まれることでしょう。
 
 
 

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copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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