伊藤社長:具体的には、どのように変わるのでしょうか。
賛多弁護士:保存を要する請求書等が、適格請求書(インボイス)等に変わります。適格請求書とは、売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。仕入税額控除を受けるためには、原則として、仕入先(売手)から交付を受けた適格請求書等の保存が必要となります。
伊藤社長:適格請求書等の交付を受けないと、原則として、仕入税額控除を受けることができなくなってしまうのですね。適格請求書等は、今までの請求書等と同じように、誰でも交付することができるのでしょうか。
賛多弁護士:いいえ、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者だけが交付することができます。
伊藤社長:弊社としては、仕入先には適格請求書発行事業者になってほしいところです。適格請求書発行事業者の登録を受けることは義務でしょうか。
賛多弁護士:義務ではありません。登録を受けるかどうかは、事業者の任意となっています。ただ、適格請求書発行事業者の登録は課税事業者に限られますので、免税事業者が登録をする場合は、課税事業者となる必要があります。課税事業者は、消費税の申告・納税が必要となります。
伊藤社長:免税事業者の多い団体等がインボイス制度への反対を表明したというニュースを見たことがあります。
賛多弁護士:免税事業者からの仕入れに係る経過措置として、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについて、令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは仕入税額相当額の50%を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。
伊藤社長:インボイス制度開始後に仕入税額控除を受けることができなくなってしまう仕入先との間では、取引条件の見直しが必要となるかもしれません。しかし、経過措置の内容を踏まえて、判断したいと思います。
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インボイス制度については、様々な情報が掲載されていますが、下記、国税庁のホームページにおいてまとめられています。
・国税庁「インボイス制度の概要」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm
執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 小杉太一
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