menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

仕事術

第82回 中国出張に「WeChat Pay」

デジタルAVを味方に!新・仕事術

 
 
■使ってみました
出張先の深センで、実際に「WeChat Pay」を使ってみました。
ホテル、レストラン、コンビニなどの商店は、規模を問わずどこでもできる状況でした。通信機能を搭載したレジスターを設置している所では、利用者がスマホに表示したQRコード(あるいはバーコード)を、店舗側の端末にスキャンさせるだけで決済が完了します。
 
digital20188no1.jpg
 
【写真】コンビニのレジ横に設置されていたQRコードリーダー。利用者がスマホに自身のQRコードを表示し、リーダーに読み取らせる仕組み。
 
 
屋台、路上パフォーマーなど「個人」への支払いも可能で、その場合、受け取り側が掲示しているQRコードを、支払い側がスマホのカメラで読み取って決済します。この方法は、利用者側がスマホで金額を入力する手間が掛かりますが、レジスターやQRコードを読み取る端末が不要なので、誰でも初期費用なしにスマホ決済を導入できるのがメリットです。(リーダーを設置している店舗でも、副次的にこの方法が利用できるようになっています。)
 
 
digital20188no2.jpg
 
【写真】受け取り側がQRコードを表示している例。
今まで通り現金も利用できますが、少なくとも深センの街中では、老若男女問わずほぼ100%の人が「WeChat Pay」のような電子決済を利用。筆者の見た範囲ですが、現金支払いを目撃したのは、地元のスーパーマーケットのみ。高齢者でスマホを利用していない人かもしれません。
 
■電子決済が急速に普及した理由は?
一般的に中国で電子決済が急速に普及した理由は、「ニセ札問題」説が有力です。
しかし、実際に現地で様子を目の当たりにすると、現金が使えない訳ではないので、「ニセ札問題」が全てではないようです。また、WeChat PayのようなQRコードを用いるシステムは、日本で主流の電子マネー「Felica」(ICを利用)に比べると、セキュリティー面での心配が残ります。最近、QRコードのみで簡単に決済できるのは1日に500元(9000円程度)の上限が設けられ、被害の心配が小さくなり、また犯罪抑止の効果もありそうですが、今後はシステムの改善が求められそうです。
 
筆者の私見ですが、スマホ決済が普及した理由を整理すると:
1. 必需品となったスマホに加え、財布も持ち歩くのが面倒に感じるようになった。
2. システムの導入コストが低い。クレジットカードが導入できない零細店舗や個人も向く。
3. 小銭のやり取りが不要に(省力化)。支払い側が暗算で小銭を減らす工夫はしない。
4. 現金に比べ、紛失や盗難時に被害が少ない。
、といった所でしょうか。
 
特に旅行や出張などで、短期滞在者の場合、コインを見分けるのも億劫なもの。一度体験して使えるようになれば、スマホ決済はとても快適です。
 
 
■日本人が利用するには??
「WeChat Pay」を利用するには、原則として、中国で銀行口座を開設する必要があります。
駐在員などの長期滞在者なら口座を開いて当然でしょうが、出張や旅行では難易度が高いと言えます。
最も簡単な方法は、「WeChat Pay」利用者から送金をしてもらう事。送金により、中国に口座を持っていなくても、「WeChat Pay」が利用できるようになります。
「WeChat Pay」にお金をチャージするには、やはり中国の銀行口座が必要ですが、少額を試してみたいなら、pocket changeという端末が利用できます。そもそもpocket changeとは、旅行などで手元に残った海外通貨(少額で換金し難い)を、電子マネー化するサービスで、主に空港などに設置されています。そのため、交換レートは現金よりも不利で、大金の換金には向きませんが、数千円相当を「WeChat Pay」を試してみたい…という目的なら充分に実用的です。
 

digital20188no3.jpg

【写真】pocket change 端末。空港の国際線ターミナルなどに設置されている。
digital20188no4.jpg

【写真】「WeChat Pay」入金すると発行されるレシート。スマホの「WeChat」アプリでQRコードを読み取る。digital20188no5.jpg

【キャプチャ画像】チャージが完了すると、スマホ画面で残高が確認できる。「\」は、中国人民元(圓)の意。
 
 
■ さいごに
日本では20年以上も前に、ソニーがFelicaという電子マネーを想定した技術やシステムを開発し、現在では、Suicaなどの交通系を筆頭に、数多くのサービスが登場。広く普及するに至りました。その流れで、スマートフォンでも、電子マネー対応となると、Felicaに準じたハードウェアを搭載することになり、セキュリティーや使い勝手の面では優れたポイントが多くあるものの、比較的安価なスマホ製品では利用できなかったり、店舗にも対応するICカードリーダーを設置する必要など、ハードルの高さは否めません。
最終的にセキュリティーを重視したICタイプが残るのか、あるいは、急速に普及し、利用者数の急増で存在感を増す、「WeChat Pay」のようなQRコード¥(バーコード)タイプが残るのか、あるいはブロックチェーン技術を利用する仮想通貨が全てを呑み込むのか。大きな変革期を迎え、新しいビジネスチャンスも生まれそうです。

第80回  探す時間を無くす!落とし物を無くす!前のページ

第83回 4K/8K放送は成功するのか?次のページ

関連記事

  1. 第150回 日本発!新次元のバーチャル立体サウンド!

  2. 第113回 パソコンから流れる音を何でも簡単録音

  3. 第109回 今や欠かせないAC/DCアダプターを効率化

最新の経営コラム

  1. 第64回 「『粋』とは何か」

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年10月9日号)

  3. 第47話 本格的な変化の時代 将来に備えた基礎固めを(4)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 採用・法律

    第54回 『メーカー希望小売価格を無視して自由に価格を決めて良いか?』
  2. サービス

    40軒目 「あえて薄切りを売る焼肉店」
  3. 社員教育・営業

    第92講 なぜ『ケーキやパンに髪』の偽クレームを約7000回も繰り返すことができ...
  4. サービス

    67軒目 「 “魚屋のイタリアン” 誕生」
  5. 戦略・戦術

    第119話 「TIBOR(東京銀行間取引金利)がどんどん下がっています」
keyboard_arrow_up