
前回、「定着率を高める入社後フォローの仕組み」についてお話しました。今回は、「若手社員とのコミュニケーション実践術」についてお話します。
まず、本題に入る前に2点の前提条件に触れます。一つ目。「コミュニケーション」という言葉は、いつ頃から日本のビジネス業界で使われ始めたと思いますか?答えは明治時代(1868~1912年)からと言われています。そこから2000年代以降には、人材育成、人間関係、対人関係、親子関係、子育て、マネジメントなどあらゆる分野でコミュニケーションの必要性が認識されるようになりました。二つ目。「雑談コミュニケーション」を説明します。「私、雑談は苦手!」という人でも、身構えてしまう必要はありません。ちょっとした時間にたわいもない会話をする程度の理解でかまいません。雑談には、社内の若手社員や取引先の人と信頼関係を築く入口に誘う力があります。雑談力の高め方を3点挙げます。
① 聴き上手になる。
相手が話している内容を笑顔とアイコンタクトで一心に聴きます。(「ちょっとメモしてもいいですか」と動きを入れても関心度が見えて喜ばれます)そして相手が言った大事な言葉を必ず復唱します。相手に話をしてもらうには意識して「オープンクエッション」を使います。5W2Hで始まる質問です。無意識に相手の「はい、いいえ」を導いてしまう「クローズドクエッション」の使用は要注意です。自ら雑談コミュニケーションを閉じてしまいます。
② 相手があまりお話上手話ではないように感じたら、自分が話します。
短めの話の種は日々アンテナを張って頭の引き出しに入れておきます。アプローチ話法と言う話材の集め方があります。あなたの右脳を使って日々更新をしておくと若手社員とのコミュニケーションにも大変役立ちます。話題の頭文字を繋げて「岸に足立ちかけて衣食住」で覚えておくとよいでしょう。代表的なものを挙げます。
・き(気候)現在見たまま、感じたままの
天気の話題。未来の天気でもよいです。
・し(趣味)個人情報でもあるので、聞くときは「私の趣味は○○ですが」と先に自分の情報を相手に開示すると、警察の取り調べのような印象になりません。
また、アプローチ話法とは別に、自分の鉄板の失敗談も仕事編・プライベート編で持っておくと、思わぬところで役に立つことがあります。失敗談には互いの距離を縮めてくれる力があるようです。
③ 「場」を作るときの自分の役割は「聴く」なのか「話す」なのかを、相手によって瞬時に使い分ける判断力をつけておく。
以上の3点の準備を細やかにしておくと、いざ雑談の時に、困ることがありません。
では、いよいよ今回のテーマである「若手社員とのコミュニケーション実践術」です。引き続き3点挙げます。
① 自分は若手社員と話す「場」を作る側であることをしっかり頭に入れておく。
「場」を作る準備運動になるのが「挨拶」です。それも自分から先にする挨拶が「第一課題」。相手の目を見て明るく「おはようございます」・「お疲れ様です」・「いってらっしゃい」などを言います。部署を超えた人にも是非頑張ってください。これらをクリアできたら、次に「第二課題」。「挨拶+一声かける」を、「第一課題」を続けた人に続けます。例えば「おはようございます。いいお天気ですね」・「おはようございます。昨日はお世話になり、ありがとうございました」・「おはようございます。午後の会議、ご一緒ですね、よろしく」などその人との心の距離を測りながら、日々こちらから『ハートの球』を投げ続けてください。(中にはあなたからそのようなアプローチを受け入れられない方もいるかも知れません。その時は様子を見ながらスッと引くことも大事です。でもこのような場合はそこで相手を見限るのではなく、二、三ヶ月継続してその後も様子を見守り続けます。そして目があったときは、ニコッと笑顔を届けましょう)気負いなく出来るようになれば、半分成功したのと同じです。若手社員とのコミュニケーションの一歩目のハードルも、かなり見えなくなってきています。
② 対象に「深い」関心を持つ。
以前、私はコミュニケーションを取るときには、相手に「『強い』関心をお持ちください」とお願いました。ただそれだけでは質問の角度にも限界があるので、「『深い』関心をお持ちください」を加えたいと考えます。「強い」関心は、対象を横に広げる関心です。「深い」関心は一つの話題を深く掘り下げる関心で、対象の心の中心に向けて掘り下げていきます。例えばコミュニケーションの中に「趣味が映画」という言葉が出た場合―前者では、映画以外の趣味に広げていく意識を持って進めます。後者では、話題を次々に変えるのではなく、会話のテーマは一つのまま「なぜ・どうして」と堀さげてください。どちらのやり方にも共通するのは、「相手を主役にした適格な質問から、心の本当の言葉を気持ちよく話してもらう」が目的です。それが信頼関係にも繋がります。これは話材が仕事のことでも、同様の流れで対応できます。
③ 若手社員に世代感覚の違いを教えてもらう
謙虚な気持を持つ。
この気持ちを持って話すのと、全く意識を持たずに話すのでは、相手に与える印象に違いが出ます。人の心は無意識のうちに表情や姿勢が表現されます。例えば、アイコンタクトが長めになる、聞く姿勢である上半身の傾斜がより相手に近づく、相槌を打つときの抑揚が通常より細やかになるなど、些細なところのコミュニケーション力が上がってきます。その結果、「なるほど。この視点は自分には無かったので、すごく勉強になった」と若手社員の言葉が自分の心に入り易くなります。相乗効果としてそれに呼応するように、若手社員の心にもあなたの言葉が届き易くなります。
以上、コミュニケーションの変遷→雑談コミュニケーション→若手社員とのコミュニケーション実践術と、それらの心構えの部分を中心に述べました。この立ち位置を大切にすることが、互いに分かり合える絆の強い組織になれる基本のラインと信じています。

























