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社員教育・営業

第129回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方50「新入社員の育て方」

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
 

 前回「今年の新入社員の傾向」についてお話しました。今回は「新入社員の育て方」についてお話します。

 毎年ご依頼いただく新人研修が五月中旬でほぼ終了しました。終了したところで改めて振り返った時、前回あげた二点(一点目、例年よりおとなしい。二点目、例年より行動が機敏ではない)に加えたいのが、全体的に「声量が小さくなっている」でした。生活環境の違いというか、特にスマートフォンの影響は大きいと感じます。
 対人のコミュニケーションでは、言葉を話すということはもっとも基本です。気持ちを話すときには、相手に聞こえやすい声・聞き取りやすいスピード・口の開閉・緩急・間・言葉遣いなど多くのことが複雑に絡み合って、自然な話し方になります。特定の友人とスマートフォンで何時間も話しが出来ても、残念ながら会社でそのコミュニケーションは通用しません。
 指導の際は、今まで指導の範疇になかったことも含めて指導をしていかないと、指導者が求めるレベルになりにくいのが現状です。ただ新人さんは言われたことには素直に努力をしてくれます。私は五年位前から研修の中で言い始めたことがあります。どんなことだと思いますか?それは挙手の仕方です。「○○と思う方、手を挙げてください」という私の言葉に対して、受講者の手の挙げ方はどんなふうだと思いますか?手のひらが顔の横あたりの高さです。そういう方が年々増えているのです。研修内容のことは一旦おいて、挙手の仕方の説明をしなければならないのです。
「手の挙げ方は、小学校一年生のとき習っているはずです。社会人として言動するときは常に相手のことを考えましょう。相手は手を挙げている人が何人いるか知りたいのです。
頭より上に手を挙げてもらうと一瞬で受講者の半分以上だとか、受講者の三割くらいだなとわかります。ではもう一度伺います。〇〇と思う方、手を挙げて下さい」と言うと肘を真っ直ぐにさっと手が挙がります。
また、私は研修中、話ながら後ろの席まで何度か通路を行き来します。この時受講生の鞄やバッグの置く位置が、年々会議用テーブルの脚より外側に置かれているケースが増えています。時々、通路を歩くのにぶつかることがあり、「失礼しました」と謝ることがおこってしまいます。その場で、テーブルの脚より内側に置くという配慮を教えると、個人攻撃になってしまう恐れがあるので、鞄やバッグについては研修を始める前にアドバイスをします。
さらに時代が変わったと感じることは、会社によっては「お茶の淹れ方」のご希望がありますが、「お茶の淹れ方」という言葉に何人かの表情が「?」になったときは、まず急須が家にない方いますかと質問します。数人が手を挙げます。私は新人さんに、家庭では急須からペットボトルに移行していることを学びました。このような時は当然、急須に茶葉を入れることから話し始めます。
 新人社員を育てる側は、今どきの新人さんが自分たちと同じ土俵を持っているのではないという認識をする必要があります。新人さんの表情に少しでも「?」が見えたら、説明するラインより一つ前のことを分かってもらう伝え方があるのではないかと考えて下さい。土俵が同じと思いこんで一方的に説明してしまうと、自分では伝えられたと思っても、新人さんは、先輩の説明は分かりにくいと感じているかも知れません。ラインは一人一人異なります。そのラインを丁寧に観る(見るではありません)ことが、育てる側の第一歩ではないでしょうか。
 
 
 
■松尾友子氏
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