
前回は「注意・指摘を次に活かせる社員の共通点」についてお話しました。今回は、『「わかりました」で終わらせない確認の習慣』についてお話します。
テーマの中の「確認」からまず確認していくことで、内容の意味の理解をより深めたいと思います。「確認」を広辞苑(第7版)で調べると、複数の意味が示されています。
1.確かにそうだと認めること。またはっきり確かめること。
2.[法]特定の事実または法律関係の存否を行政庁が判断、認定をすること。
3. [哲]検証によって命題の心理性を確証すること。
ここでは、「1」を意味する「確認」で話を進めます。意味はシンプルですが、人が現場で実行しようとすると、とたんに複雑になります。「確認」の必要があるにもかかわらず、なぜ「確認」をしないことを選んでしまうことがあるのでしょうか。そこには幾つもの感情が入り込んでいます。
1.無意識に自分を守っている。
・言われたことが分からなかったと思われたくない
・仕事が出来ないという評価をくだされたくない
※確認をすると、「理解していなかった自分」が表に出てしまう。だから「確認」をしない。これは、自分を守るための自然な反応です。でも本当にそれで守れているのでしょうか。確認しないまま進み、後から修正が入るとしたら、そのほうが信頼を損ないませんか。
2.相手の立場に立ったというつもりの遠慮
・こんなことに時間を使わせたくない
・相手と話したそうに、他の人が相手のそばで立っている
※この判断は本来あなたではなく、相手がすることです。
3.過去の小さなトラウマ
・私が確認している途中、相手は壁の時計を時々見ていた
・「また言うの?」と言わんばかりの表情を相手にされた
※そのような記憶が無意識に確認することにブレーキをかけてしまいます。
お読みいただくと、結構「あるある」と思いませんか。
皆さんはだからこそ、「確認」は良い仕事への近道と割り切ってください。「あるある」部分は感情が先に立つ状態とも言えるので、左脳での理解に置き換える努力が必要です。
「確認」と自分の距離を近づける「プラスアルファーの文を六例ほど挙げます。
① 「○○課長、一点伺ってもよろしいでしょうか?」(課長の名前からはじめることで、丁寧さと敬意を示します)
② 「お手数をおかけしますが、念のため確認をさせていただけますか?」(クッション言葉を先に置き、語尾は依頼形にして柔らかくします)
③ 「先ほどの○○について、□□も含めて考えてもよろしいでしょうか?」(自分でも考えている姿勢を伝えられます)
④ 「ここまでの理解は、〇〇ということですね」(内容を部分に分け、段階的に「確認」をします)
⑤ 「後半の□□は、精度を上げるためにもう少し時間をいただけるとありがたいです」(「ありがたいです」を丁寧な声のトーンで伝えます)
⑥ 「○○部長、細やかなご指摘ありがとうございます。更なる気づきになりました。お忙しいところお手数をおかけいたしました」
(感謝の気持ちは、腰を折った角度で一拍止めるお辞儀で伝えられます)
以上のような些細なプラスアルファーの言葉が、小さな信頼を積み重ねる効果をもたらします。「確認」を自分の身近におけるようになると、「確認」はその段階で、仕事のブレーキではなくなります。むしろアクセルになります。ほんの少し注意を広げるだけで、仕事のやりがいや成果にも変わることを実感していただきたいです。
テーマの冒頭の「わかりました」についても同様に考えてみましょう。もちろん、問題のメインは「確認」ですが、この「わかりました」の理解にも危うさが潜んでいます。これは動詞「わかる」に助動詞「ます」の過去形が接続した形の丁寧語です。本来「わかる」の動詞の意味は、
1. きっぱりと別れる・別々になる
2. 相手が言った事の筋道がはっきりする・了解される・合点がゆく・理解できる
3. 明らかになる・判明する
などです。加えて、条件反射のように無意識に口先で「わかりました」と言ってしまうこともあると私は思います。
「わかりました」も意味を違えての使用では、両者のコミュニケーションは正しく行えません。同じ土俵に立つためには、正しく選択した「わかりました」や「確認」でなければなりません。
例えば、ビジネスシーンで、
・自分は相手に言われた言葉の範囲内での「わかりました」を使ったつもりです。でも相手はその先の判断まで任せられたつもりの「わかりました」に受け取ってしまう。
・言われた内容まで納得をしていなくても、その場を収めるために使ってしまう「わかりました」。これでは後日、話が違うというトラブルが起こります。
※「わかりました」は尊敬語や謙譲語ではなく、丁寧語です。相手が目上の人であれば、まず「わかりました」の使用そのものが適切でないと評価されてしまうでしょう。確認の内容以前で躓いてしまいます。
さらに例えば、
・要約して返すとき。「○○という理解でよろしいでしょうか?」
・次の作業工程を伝えとき。「かしこまりました。では○○から着手いたしますが、いかがでしょうか」
など、相手が言った言葉の範疇に入る言葉を添えるとよいでしょう。会話のキャッチボールを安心してすることができます。
今回のテーマのポイントは、思ったより感情が絡む「確認」や、無意識に使用範囲を広げて曖昧にしてしまう「わかりました」のリスクに気づくことです。今後の働く基礎を改めて整えるために、ここはしっかり認識いただきたい部分です。基礎が整えば上に何を積んでも揺らぎません。
ここまでお読みくださったあなたは、「確認」や「わかりました」という言葉に向き合えるようになったと思います。その「習慣化」は決して難しいことではありません。実践した時の小さな気づきや「プラス」を、忘れずにメモしてください。そして10例ほど貯まったら、それらの内容を自らに向けて明るい声で読んで聴かせます。その作業を10例貯まる度に、楽しく繰り返してみましょう。
成功体験はきっとあなたの確認能力のレベルを引き上げてくれます。「確認」はまず相手のためですが、同時に未来の自分の脳力の育成にも繋がっています。今日の一つの確認は、必ず近い未来のあなたの「信頼」をつくります。






























