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人間学・古典

第6講 「言志四録その6」
将たる者は、一時の勝敗を論ぜずして、士気を振励し義勇を鼓舞しむ

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
リーダーは一時の業績にとらわれず、部下を元気付け、
組織の大義名分を理解させて活性化することである。


【解説】
大義とは果たすべき正しい義務、名分とは身分や地位です。
組織の大義名分とは、その企業の身分や地位に相応しい、果たさなければならない社会貢献の義務です。
ですから創業後間もない企業は社会的地位もありませんから、大義名分も小さなものですが、
大企業の場合は、社会貢献という大儀を忘れますと、世間から非難されることになります。


「経世済民(世の中を治め人民を救う)」は抱朴子にある言葉で、経済活動の基本理念ですが、
最近の企業経営者は、この基本理念が弱くなっているといえます。

自由経済社会が確立されて以後、たくさんの企業が自由な発想のもとに設立され活動を始めました。
そしてその活動成果を測る共通的な尺度として、貨幣を基準とした利潤計算法が導入され、
企業の社会への貢献度合いは利潤額によりに示されるようになりました。
その結果、企業活動による経世済民の大義は薄れ、利潤額の獲得に意を注ぐだけの経営者が増えてしまったのです。

利益は社会貢献に対する世間からの御礼のようなものです。
その御礼にあたる利益だけを遮二無二求めることは経営の大義にはなりません。
ただ、利益追求は資本主義社会における企業経営者が避けて通れない宿命であるとして、
経世済民の基本理念を疎かにして平気な顔の社長が多いのも事実です。


しかし、長期的な蓄積経営を目指すならば、トップは今こそ「我社の大義名分」を明らかにして、
この大義に向かって社員と共に社会貢献に努めるべきなのです。

将たる者あるいは企業としての大義の捉え方がしっかりしてくると、
部下も成長し気がつかないうちに組織も強くなっていくものです。
若い力が育ってくれば、目先の不安に脅かされることもなくなるものです。

企業は人、事業は徳によって支えられているものです。即効性のあることは、効き目がなくなるのも早いですから、
何が大切かということを見極めたら、じっくりと時間をかけて育て上げていくことです。


杉山巌海

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