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3軒目 「観光の目玉になるレストラン」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

「日和庵」(山口県・下関市)
 

 「日和庵」の建物は大正10年に建築された。玄関ある灯篭は、上野公園が1600年代に東叡山と呼ばれていた頃、そこに建立されていた寛永寺 の中にある常憲院殿、つまり徳川綱吉の霊前に、岡藩・中川家藩主、従五位下因幡守中川久道より、1709年(宝永6年)大正10年12月に、日和庵に縁が あって移築された。
 
 80余年の時を経た今日、建物所有者である現当主吉本日海氏より、西尾光男氏に和欧風創作料理“日和庵”として経営を委ねられ た。
 
 西尾光男氏は、ホテルなど活躍、第1中十弘会料理コンクールグランプリ、全日本司厨士会西日本料理コンクール銀賞などを受賞してい る。
 
 店内は絶好の夜景を楽しめるメインダイニング、ダイニングカウンター、やはりすばらしい夜景が楽しめるスカイデッキ、スカイバーがあ る。
 
 また、2階には貴賓室がある。この部屋は、彼の初代内閣総理大臣伊藤博文公の書をはじめとして、数々の美術工芸品を配する最高最貴の優雅な空 間である。窓の外の庭園ごしに広がる関門海峡の眺望を見ながら畳の部屋でのフレンチはまさに和欧風の極み、格別な趣がある。また、誕生日や記念日ようにア ルコーブ(床の間のある部屋)ダイニングがあり、特別なシーンの演出が可能である。パーティ用にはパーティダイニングがある。
 
 西尾シェフが以前より思い描いていた、店作りが建物所有者である吉本氏の心を打ち、和欧風創作料理“日和庵”は日の目をみた。
 
 西尾シェフは、この上ない空間で、お客様に楽しい時間を過ごしていただくことを一番に心がけており、決してインパクトのある料理を食べていた だくのでなく、肉料理、デザートと食べて、「良かった」と思う気持ちを大切にし、料理を組み立てている。
 
 そのために予約を原則とし、お客様の要望をこと細かく伺う。もちろん、時間を過ごすレストランであるゆえ、用意されているのはコースとな る。
 
 昼は税込3150円と5250円、夜は税込8400円、10500円である。昼も夜も概ね8品で構成されており、食後感も重すぎずちょうど良 い提供と思われる。
 
 料理は和欧風創作料理とあって、見た目はフレンチ、味は日本人が安心できる味である。醤油は使わないが、付け合せのだしには和のだしを使う。 その時に大切になるのが、水と塩だとシェフは語る。「当店は実に多くの塩を素材や出しにあわせて変えている」
 
 和の素材の自然な持ち味を生かすというのも和欧風と言えるだろう。洋食は足し算の料理、素材に味や香辛料を重ね合わせる。和食は引き算の料 理、「出しをひく」、「皮をひく」だから、和欧風料理は加減が大切だということなのだろう。魚料理に甘鯛に自然薯すりおろしてソースのように仕上げてオー ブンで焼いた料理があったが、和でもなく、洋でもなく、“日和庵”の料理であった気がする。
 
 ワインも品揃えがよく、決して、高単価のワインを無理強いしない。ソムリエの氏がお客様の雰囲気を察して適切なワインを選んでくれる。ただ、 高単価のワインも品揃えがありDRCのラ・ターシュが10万円で提供されていたのには驚いた。
 
 これだけの空間で食事をできるのは、日本全国あるいてもそうそうにないだろう。
 
観光資源に恵まれていながら、今一歩ぱっとしない印象の下関の発展はこうした地域のレストランから始まるのかもしれない。レストランは観光の目 玉になれるはずだ。
 

趣のある入り口
shikumi3_01.jpg

目の前でカットするサンダニエレの生ハム
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関の海の幸のナージュ(ナージュとは出しに泳がせるの意味)
shikumi3_03.jpg

和欧風創作料理 日和庵
住所:下関市丸山町5丁目3-19
電話:0832-29-3388
営業時間:11:30~14:30(LO.14:00)
    17:30~22:00(LO.21:00)
定休日: 毎週水曜日
 
http://www.hiyorian.com/top.html

 

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