menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

戦略・戦術

第25話 「銀行の企業を見る目が変わってしまった。(2)」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

■3 番目の方
 
 こういう事を真顔で言ってこられる方はその評価項目も知らず、実務をやった事のない、経理が誰かに任せたまま、ランクをどうしたらアップする か、自分で考えた事がない方なんでしょう。
 
 公共事業を受注して途中で倒産されたら大変ですので、こういう制度があるのです。バブル経済終焉の後、多くの建設業者が倒産しました。それも Aランクに位置している会社が潰れたのです。
 
 それはそうです。私はその頃、審査項目を見て驚いたのです。優良会社とは売上げの多い、人の多い会社が優良会社に入るのです。そんなバカな!  売上を多くしようと思えばキャッチボールで仕事の投げ合いをやればいくらでも売上げは多くなり、売掛金も多くなり在庫(未成工事支出金)も大くすればい いのです。
 
 そんな会社がなぜ優良でしょうか。大きければいい会社、たちまちバブル崩壊後、今の評価が一気に変わりました。
 
 来年から又、変わるのでしょうが。経常審査の項目もキャッシュフローですしROAですし、利益は経常利益です。今までは2年に一度の提出でし たので間の期に一気に大掃除をやればよかったのです。
 
 
■4番目の方
 
clinic25_01.gif
 
私はいつもこんな方に申し上げました。
 
「誰が買ってくれるというのかい?」
「あんたが責任をもって買えばいい!」
「はあ・・・??」
 
 いまだに分からず屋の頭の悪い人がいらっしゃいます。言葉をヒントにして種々の方策を考えてくれればいいものを・・・・・
 
「子会社 関連会社に売却をすればいいじゃありませんか」
「子会社も関連会社もありまません!」
「なかったら作ればいいじゃないか!」
[はあ・・・・・]
 
 まだ判らない頭の悪い人がいる。
 
「先生、うちの税理士に相談したらそれは納税逃避行為で脱税を行う事になるといっていますが・・・」
「同族間・親子間の取引は利益、その行為になるからだめだといっているんですが・・・」
「バカヤロー 税務署上がりの頭の固い奴に相談するからだ・・・もうアドバイスのしようがない・・・・」
 
 子会社間、関連会社間で不動産等の固定資産、物品の売買はいくらでも発生します。取引の正当性、価格の正当性、客観的事実の証明が後々に必要 なんです。
 
 土地でしたら不動産鑑定士の第三者の評価が当然必要ですし、謄本もはっきりとすればよいのです。巷でどれだけそんな取引が成されている事か。 世間を知らぬにもほどがあります。
 
 正々堂々と取引すればいいのです。私はB/Sに多くの土地があるよりも子会社の不動産会社に持ってもらい地代を支払う方が親会社のB/Sがス マートになるのですが。
 
 
■5番目の方
 
clinic25_02.gif
 
という方です。社歴が長く、地元銀行とも関係よく、銀行の方が積極的で多額の融資をなされている、地元名門会社である。経理担当の専務の言葉で あったが、数ヶ月して我が事務所に駆け込んでこられました。
 
「銀行が貸し付け額を減じる、不動産を売却してでも返済して、貸付総額を減らしてくれといってきました。!」
「お宅は別に月々の返済も困っていないとおっしゃっていたじゃありませんか?」
 
「実は子会社が3社ほどあり、内一社が不動産を抱えている、不動産会社です。これが貸ビルをもったり貸家をもったり、別荘をもったりで借入金が 多く、金利だけは払っているのですが、元金を全く返していないのです。銀行は当然それでいいといっていたのですが・・・・金融庁からこれは不良債権だと地 元銀行が言われているらしく急に方針が変わり、困っているのです」とのこと。
 
 実は金融機関も平成8年頃の銀行破綻後、金融再生法の開示債権、自己査定をスタートしたのです。国際業務は8%以上の自己資本がないと行えな いルール。国内業務の4%ルールでBIS規制がスタートしたのです。
 
 本年からはもっと厳しいルールになるはずです。もう日本式の実情など何ら通用しない。欧米式金融ルール、国際ルールに移るので す。
 
 大銀行から実施し始めたのですが融資先の財務資料をコンピューターに入れて格付けする。人間の情実や現場の声は聞きませんし、聞いたお陰で過 去日本の各銀行は悪くなりました。
 
 これからはどの銀行がみても貸せない会社と、どこの銀行が見ても貸せる会社に分けられてしまいます。コンピューターの格付けシステムは、 100%正確ではないが90%は正しいという方向です。
 
 借入金の返済期間は10年までが正常債権、10年を超えると不良債権になるのです。(ただし不動産貸付業の場合は期間は20~30年 間)
 
 銀行も破綻懸念先が増えれば不良債権の引当を強制的に積まねばならなくなり、そして総資本が増え、8%や4%ルールの実現が厳しくなるので す。勢いサービサーに債権を売ってしまう事になりかねないのです。
 
 そして、貸出金額が小額で広く分散することが金融庁からみれば良い銀行と見られるらしいのです。勢い金額が多くなる投資には・・・シンジケー トローン【借入人の大口の資金調達ニーズに対し、複数の金融機関が協調して複数銀行団を組んで、同一の条件・契約書に基づき融資を行う手法】を中小企業に も言ってくるのです。
 
 元金も返さず土地を担保にして金利だけ支払っている融資先は不良と見る時代なんです。

 

第24話 「銀行の企業を見る目が変わってしまった。」前のページ

第26話 「銀行の企業を見る目が変わってしまった。(3)」次のページ

関連セミナー・商品

  1. 第38期「後継社長塾」

    セミナー

    第38期「後継社長塾」

  2. 井上和弘の経営の核心102項

    井上和弘の経営の核心102項

  3. 井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

    音声・映像

    井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

関連記事

  1. 第130話 「銀行提案の相続対策にご用心を!」

  2. 第101話 「危機感をもっていました人手不足時代が 又 やってきました part3」

  3. 第46話 「倒産の真因」

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 経済・株式・資産

    第119話 関税連発、強気の裏にトランプの焦り
  2. 社長業

    Vol.48 会長の病気を治す万能薬
  3. マネジメント

    第5回 10年後の『とんでもない未来の描き方』
  4. 経済・株式・資産

    第8回 食の楽しみを演出する外食企業「フジオフードシステム」
  5. 人事・労務

    第15話 ヨソの会社は社長の報酬をどう決めているか
keyboard_arrow_up