日本の賃金、特に40~60歳代の賃金の高さが突出している。国際競争力から見て40~60歳代の高給与ではやっていけないので、生産拠点が東南アジアに移っていくのも、経済原則から言って当たり前のことなのです。
ところが先に触れたように、日本ではギリギリになるまで抜本的な改善には手をつけない。国際的に高すぎるから、いきなり給与を釣り合うように下げるとはならないのです。
そこで、これからの組織を利益が出やすいようにするには、給与の高い人たちを使わないですむ仕組みに組み直すことなのです。
国際競争力という賃金抑制要因が働いて、これから徐々に改善されて行くにしても、当分は10歳代から30歳までの若手社員と45歳代から55歳代のベテラン社員を比べると、明らかに若手社員の給与の方が安く、生産性も良い時代を迎えています。
また、60歳から70代の定年退職した高齢者も安いとなれば、ごく単純に考えても給与の高い40歳代と50歳代を外して、30歳代までの若手社員と60歳以上の高齢社員を中心にした組織が一番安上がりという事になります。
「30代社員を中心に組織しても10年たったら彼らも40代になるじゃないか」という当然の疑問に対しては、後で説明します。ここでは、単純に一番給与が安上がりになる条件だけ確認しておくにとどめます。
次に「女性の戦力化」は、以前から言われてきたことで、何も耳新しいことではありません。
しかし、効果を上げている会社は少ない。なぜ女性の戦力化が出来ないかと言えば、今までしてこなかった、これからもできないと思いこんでいるからです。
すでに医療、教育、女性向商品販売などの分野では、女性が戦力化されています。化粧品の会社などもそうです。扱っているのが女性向けの化粧品というだけで、会社の組織形態も、社員の果たしている職務も他業界との違いはありません。そう考えると、業界を問わず戦力化できていない会社がおかしい。
実際に旋盤のような職種でも、女性も活用している会社もわずかながら出て来ています。新幹線も飛行機も宿泊ホテルのフロント業も女性の進出が目覚ましいのは嬉しい限りです。
女性の戦力化とは、営業や企画などの生産の仕事を男性と同じようにこなしてもらうと言う事です。
これまでの日本のビジネス社会は男性優位であったことは間違いありません。
現実の世の中は、男も女も、どちらも優秀な能力の人もいれば平凡な人も劣った人もいる。男性が全て優秀で女性がすべて劣っているわけではない。ところが、これまでの男性優位の社会では、平凡な能力の男と優秀な女、劣った能力の男と普通の能力の女が同等の評価を受けてきた嫌いがある。その分優秀な女性は割りを食ってきたと言えます。
そこで私がいいたいのは、並以下の男性を優遇するくらいなら、同じ給与で女性を採用すれば、はるかに優秀な人材を社員に出来ますよという事です。
女性は妊娠して子供を産み、長期間休暇を取るからダメだという、その人の仕事を他の女性、男性が変わればいいのです。
男性取締役の人でも6カ月も入院することは当たり前にありますから・・・