裸一貫で事業を起し、成功経営者とあがめられ、新聞、雑誌、テレビで取り上げられて、顔を売り、自説を講演し、本を出版される。
企業発展の為に自らの顔、名前を売り込み、他から重要視されることを、いたく欲する人物がいつの時代にもいらっしゃいます。
先の参議院選挙に居酒屋チエーンの元社長が立候補されました。
この方は、たしか数年前の都知事選挙にも立候補され、落選されていらっしゃる。今回は当選なさっていらっしゃいます。
成功経営者が、なぜ、議員になりたいのか、私は、もう1つ理解できないのです。
非常に危険視するのは、「会社の社長でありながら、政治家の道、議員になられる方は殊の外、普通の人より自己顕示欲が強いのではないか?」と心配に思うからです。
確かに「自己顕示欲」は、行動の大きなエネルギーになりますが、経営者にとっては、諸刃の剣にもなります。
それは、「俺が!俺が!」の気持ちが、本当に強い方が多いのです。
会社も社員もすべて「俺の為」の存在でしかない方が多いのです。
確かに株の所有率も100% 俺が起業し、俺の金で、信用で、俺の力量を日夜発揮して、今日の地位を占められたことは認めますが・・・。
ただ、それだけでしょうか?
社員の、仕入れ先の金融機関の協力があればこそではないでしょうか。
私は、テレビのインタビューや成功事例の紹介の時は、社長は出るな! 社員(工場長や営業部長)を出してあげなさい! 彼らの手柄にしてあげてください! と申しております。
政治の世界へ、企業の社長が出てはいけないと思っています。
なぜなら、お客様の中には、与党派の方も野党派の方もいらっしゃるからです。
反対派の方々から、その会社の、その社長の、あら探しをして、ジャーナリストの餌食になってしまうからです。
昔、四国の某市の市長をなさっていた冷凍会社の社長がいらっしゃいました。
本業は、番頭さんの常務に任せておられましたが、常務さん、業績を粉飾して赤字をごまかしておられました。政務の忙しさで業績の実態がわからず、倒産しましたね。
週刊誌B誌では、居酒屋チエーンの労務管理、社会保険料逃れをたたいております。そして、ブラック企業だと決めつけられています。
働いている幹部や社長は、どんな気持ちでいるのでしょうか?
飲食業や深夜業は、パート化比率も高く、基幹産業の大メーカーと比較されれば、ブラック企業だと決めつけられてしまいますが、ジャーナリストは目立った事をすると叩いて、ほこりに目を付けてきますから・・・。
現場で日夜 苦労している従業員の為にも・・自己顕示欲はコントロールしてください。
その元経営者は、当然、世の為人の為、いかに国民の幸福を考え、己が理想を実現させたいという思いで動かれているのでしょう・・・。
今、又、有名病院もそうです。
何百億円をどぶに捨てるがごとく政治に使う、己が稼いだ金、どう使おうと社員、職員は何も言えませんが・・・。
どうか、経営者にとっては、己が名前を広めるよりも、事業が安全に成長していくことを第一に願いたいものです。
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- 第92話 「社長の強い自己顕示欲は抑えて下さい。」