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戦略・戦術

第165話 「果たして 緊急融資で生き延びられるか?」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

果たして 緊急融資で生き延びられるか?

 

コロナ騒ぎで売り上げが40%~70%急激に落ち込んでいる業界があります。気の毒としかいいようのない旅行、ホテル、観光、レジャー、外食等は大変な状況を示しています。

 

私は、講演でも著書の中でも「のぼり坂、くだり坂、まさかの坂 まっさかさま!」などと申し上げています。

晴れの日、雨の日、経営にはいろいろな現象が発生します。

そのために借金体質であると、一気に企業生命をなくしてしまう、と申し上げてきたのです。

 

本年で48年間 経営コンサルタントとして、この職業をやってきました。その間、石油ショック、バブル崩壊、リーマンショックと2度、3度の大地震、中には狂牛病のように、特定業界のみの大事件も発生しました。

そして、その渦中に巻き込まれて 多くの経営者は辛酸を味わったのです。

 

ほとんどの会社の損益分岐点操業度は90%ぐらいで 売り上げが10%~20%低下すれば たちまち赤字転換のはずです。

それが40%~70%も売り上げ低下を起こせば、途端に大赤字になります。1か月や2か月の赤字は多々ありますが、いつまで続くのか、不透明な時の経営者の心理状況は、やった者にしかわからない苦しいものであります。

 

赤字だけではないのです。実は資金繰りなのです。資金繰りは企業体質によって 様々なのです。

①固定費率と変動費率の違い

②借入金過多体質と無借金体質

③短期借入等 流動負債比率の高さ

④支払手形発行による調達体質

のような事で 全く異なります。

 

①であれば わりかし軽く済みます。固定費率の高い会社は手の打ちようが遅くなり、赤字が続くのです。パートや下請けが多ければカットすればよいのです。

 

④のように手形発行しておれば 不渡りになり、②③による借入金で現金を持っていても、元金返済は、毎日やってくるので たちまち信用失墜に陥ります。

 

 

今、政府も金融機関も手を差し伸べてくれるでしょうか?

元来、長短借入金が多い会社に、また 借入金が増えるわけです。年商近くの借入金額に近づいて、今後 どうして返済してゆくのでしょうか・・・・

返済金は 税引き後純利益と減価償却費で返すわけですが、全く返せない金額になってしまうのですが・・・・・(?) いずれ倒産です。

 

設備投資の借入金はリターンによって返済できますが、運転資金、後ろ向き資金の借入金は 借りてはならないのです。

東北大震災で被害にあった水産会社の多くが、再建資金で国からの融資を受けていましたが、水産商品が売れずに 多くの会社が倒産してしまいました。

カキの養殖水産会社の 株式会社MY社は、無借金を貫いてこられ、7年目には国からの返済無しの補助金を受け、新工場を建てられ、見事に高収益会社に蘇られていました。

 

なぜ,平素より財務体質強化を図らなかったのでしょうか?

今回、コロナショックに見まわれている業種は、過去のショックにあまり影響されていない業種の方々です。

しかし、マサカという坂は、どの会社にも いつかは巡ってくるのです。

天候、景気に恵まれた時こそ、それに対処して借入金の少ない会社にしておくことなのです。

 

 

 

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