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第193話 「コロナ禍&価格高騰でも、営業利益を増やしなさい」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

 借入金が多く銀行対策が必要な会社は、“銀行が最も重視する利益は営業利益”と知っておくべきです。

 

 だから、損益計算書においては、“営業利益が大きく見える決算書にしなさい!”と言い続けているのです。

 

 とはいえ、コロナによる出費増や、値上げによるコスト増のなか、無策であれば、営業利益は減る一方です。

 

 しかし、このような環境においても、営業利益を落とさずに増やす、知恵や工夫はあるのです。

 

 

1)雑収入を営業利益拡大に活用しなさい

 損益計算書において、雑収入は、営業利益の下にあります。なので、雑収入を営業利益より上で計上し、営業利益を増やす、という方法を考えてほしいのです。雑収入で多いのは、不動産賃貸収入です。不動産賃貸収入は、その他売上高、として売上高に計上すればよいのです。すると、

 

「“それはうちの本業じゃないから雑収入です。”と税理士先生に言われました。」

 

 ということがありました。会社の本業というのは、定款の最初の目的に記載されている業務を言います。多くの中小企業は定款に、たくさんの事業を記載しているはずです。そこに“不動産賃貸業”とあれば、立派な本業です。

 

 記載がなければ、定款を変えて追加すればいいのです。

 

 他にもコロナ関連では、雇用調整助成金、時短協力金など、さまざまな名目でお金が会社に入ってきました。会計事務所任せだと、雑収入で計上されてしまいます。しかし各助成金を、営業利益を増やすために活用するのです。

 

 例えば、売上減による補助金や、飲食業での時短協力金は、売上高を補填することが目的です。ならば、その他売上高として、売上高に計上すればよいです。

 

 雇用調整助成金ならば、労務費を補填することが目的です。なので、雑収入で計上するのではなく、給料手当でマイナス計上すればよいのです。

 

 そうすれば、労務費が小さくなることで、営業利益を増やせます。

 

 このように、ちょっとした工夫で、雑収入を営業利益拡大に活用することができるのです。別に税金が変わるわけでなく、損益計算書のどこで計上するかの話しなので、税務署は何も言いません。

 

 むしろ抵抗するのは、会計事務所です。彼らは普段とは違う処理するのを、いやがるからです。それに、会計事務所には、営業利益を大きく見せたい理由がわからないのです。

 

 

2)価格高騰コストは特別損失に計上しなさい

 原材料、光熱費、運賃など、今年に入って価格がどんどん上がっています。

 

 例えば、プラスチックを扱う顧問先のメーカーでは、

「このままでは原材料が昨年度の1.5倍です!営業利益が大きくマイナスになってしまいます!」

との悲鳴が聞こえてきました。同様の悩みを抱える中小企業は多いはずです。

 

 そのメーカーでは、標準原価を越えた、価格高騰の原価を特別損失に計上することにしました。このようにすれば、少なくとも、営業利益が極端に下がることはありません。それに、過去にないくらいの高騰ぶりです。ならば、標準原価を越えた分は特別損失に計上する、ということで、理屈が通ります。

 

 その話しを他社ですると、

「うちは標準原価なんてないんですが、電気代が異常に上がってます!」

という小売店業の方がおりました。

「では、過去3年の平均単価を調べて、越えた分を特別光熱費にしましょう。」となりました。

 

 要は、原材料費、電気代、燃料費等、通常ではありえない価格高騰分を特別損失に計上することで、営業利益が極端に下がらないようにする、ということです。現状の価格高騰こそ、まさに特別損失です。

 

 該当するコストがあるのなら、そのコストを特別損失で計上するべきなのです。

 

 発生した費用が特別損失かどうかは、会社が決めることです。

 

「うちの会社では、受注できなかった案件に費やした積算業務の時間をコスト計算して、特別開発人件費としています。」

という建設会社の社長がおられました。その会社では、積算業務にかかる時間が大きいので、受注できない案件があると、特別損失に計上しているのです。

 

 他にも、訴訟関連、災害関連、ISO等資格関連、と、販売管理費や製造経費に入れる必要のない経費は、探せばあるのです。

 

 そのような経費がないか見直し、コロナ禍やコスト高の時代においても営業利益を落とさぬよう、決算書への知恵を働かせてほしいのです。

 

 何度も言いますが、銀行は営業利益を最も重視するのです。

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