中小企業の経営者の方も 20年~30年と経営されてこられたら、自分の懐にもお金がたまってくるはずです。
中には証券取引所へ上場している他の会社の株式に投資されて 儲かった! 損した! と楽しんでおられる方がいらっしゃいますね。
中身の実態も分からずに B/S P/Lも分析できないで、大切なお金を証券会社のセールスマンに勧められて投資しておられる方をみて、アホか! と思います。
中小企業の経営者は、お金がある時に自社の株式資本金を1億円近くまで掘り込まれてはいかがでしょうか。資本を厚くするのです。
「なんで 1億円近くなのですか?」と質問された方がいらっしゃいます。
「資本金1億円までは 中小企業とみなされるからです」
「中小企業とみなされては小さい、信用がないと思われますから、1億円以上の方がいいのでは・・・?」
「そうですね。 経営者がお金をたくさん持っているなら、1億円以上の資本金にするのも良いかもしれません! しかし、そんなお金をたくさんお持ちですか?」
しかし、資本金1億円以下の中小企業には税率であるとか、雇用であるとかで諸々の運営上のメリットがあります。日本の会社は97%が中小企業です。政治家は中小企業の振興策を種々考えています。
大企業より中小企業の方が何かにつけて優遇されていると私は考えています。左がかった政党は大企業が優遇されていると非難しますが、私は的外れであると思っています。中小企業も結構、優遇されていますよ。
経営者は自分の会社以外の他社などに大切なお金を投機するなどもっての外です。早く資本金を1億円にしてください
もう1億円です。しかし、もっと増やしたらいかがですか?
少人数私募債という方法もあり、これは経営者貸付金の一種で銀行は自己資本と見てくれます。
地方のかっては名門であった大問屋の5代目の息子の若社長が、私に言いました。
「三代目の爺さんが、私に 『資産を銀行から どんどん借り入れて(銀行信用) 増やしていくのが経営者の仕事』と言っていたのですが、先生は 資産を増やすな! と爺さんと全く逆をおっしゃるのですが・・・・・」
「御社は燃料販売、窯業販売、各メーカー代理店の仕事をされてきました。しかし、今やメーカーが直にこの地まで直送する時代です。御社が所有している土地、倉庫、車両は低い生産性じゃないですか・・・過去の借入金を返さずに借金が増えて、今では銀行の言いなりでしょう…。
土地も倉庫も設備も今の時代にそぐわなくなっていますでしょう。。。
土地が担保になって借り入れが自由だったので過去はその力を発揮できましたが、今や銀行は土地を担保にする時代ではありません。
総資産を増やさず経営すればいいのです。減らす時代になっているのです。
その方法は
・購入しないで 借りる(リース レンタル)
・子会社に持たせて借りる
・即時償却 割り増し償却して早く消す
・資産勘定に入れず、30万以下の経費勘定にして早く減じる
・下請け・協力会社に外注する
・事務所・作業所は広くしない
ちょっと考えても「6つ」も方法があります。貸借対照表の左側の総資産をいかに小さくするか! の時代です。
東京、川崎、横浜に物流貸倉庫をもっていらっしゃる株式会社パシフィックエンタープライズ(仮称) の会議室に招かれました。
「御社の資本金は3.5億円ですが・・・・? なぜ、こんなに多いのですか?」
「我が社は多くの上場会社、わけても輸出が多い日本のトップメーカーの製品を預かっております。先代の口癖で先様からの大切なお荷物をお預かりしておりますので、信用が大切です。その信用のバロメーターは資本金ではないでしょうか?
3.5億円の資本金にするのも大変な苦労がいりました。資本金が多いのは、いけないとおっしゃるのですか?」
「社長、お聞きしますが御社は大企業ですか? 中小企業ですか?」
「勿論、わが社は売上からいっても中小企業ですな」
「あなたは、なぜ自社は中小企業なのに ★外形標準課税など課せられているのかと不満をおっしゃっていますね?」
「そうなんですよ!」
「売上規模も社員数も利益額も中小企業なのに、資本金を3.5億円にされているからですよ!」
「しかし今更、資本金を1億円にしたり、もう縁もない株主を排除したいと思っても不可能ですし・・・」
「不可能? いいえ。不可能ではありませんよ! 大阪の上場会社の吉本興業でも資本金を1億円に減額されていますよ」
「資本金を1億円にすると自己資本は小さくなり、外部の資本提供者がすんなりと同意してくれるでしょうか?・・・」
「そのために 私を呼ばれたのでしょう・・・ちゃんとしてみますよ! 」
3.5億円の資本金を1億円に減資する。やったことのない方は、どのようにしてやるのか、大変な大仕事と想像されるでしょうがいたって簡単。
資本金を1億円にする。差額の2.5億円の資本金は、下の剰余金に組み入れられることなのです。振替伝票一枚で済みますし、官報にそれを掲載すればよいだけです。
実行した今、株式会社パンパシフィックは 今日、1億円の資本金で外形標準課税もかかってきません。
私の申し上げる無借金道を選ばれた会社は今回のコロナショックでどうなったのでしょうか?
無借金の会社の1つであるヒル・クレストテック株式会社 (仮称)では 不動産賃貸・設備工事、ITコンサルタント業の3社のグループをもっている会社です。
勿論 3社とも無借金会社です。
大手メガバンクの大阪支店の責任者の方が来訪され、1社3億円づつ9億の枠を準備していますとの提案があったのです。
また、他の無借金のホテル業や外食産業の会社も変動費を削れば 6か月~10か月は自力で凌げます。 という返事でした。
自己資本比率は「安定性」をみる万国共通の指標です。どんなに嵐がこようともびくともしないかどうかの指標です。会社を“潰さない” の使命で私は今日までコンサルタントの道を歩んで来ました。
安定性を高めるには 収益性(ROA)ですが、ここにもう一度 銀行も最重要視する自己資本比率を考えてみたいと思います。
★外形標準課税とは
平成16年4月1日から、資本金1億円超の法人を対象に外形標準課税が導入・施行されました(当面中小企業は対象外)。
その 外形標準課税の概要は以下のとおり事業所の床面積や従業員数、資本金等及び付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式のことです。