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人事・労務

第58話 2014年の春季労使交渉は

「賃金の誤解」

 安倍政権の経済政策の下、企業の業績は回復傾向にあり、好循環も描けそうなのですが、4月からの消費増税の影響を警戒している経営者も少なくありません。今年の給与改定、他社はどうするか。例年以上に春闘の集中回答(3月12日)に注目している経営者は多いのではないでしょうか。
 
● 連合:2014春闘に挑む労組の姿勢
 2014春季生活闘争の展開については、月例賃金にこだわる闘いを進め、底上げ・底支えをはかるために、定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保したうえで、ベースアップは1%以上、また格差是正・配分のゆがみの是正(1%が目安)の要求を掲げ、
 (1)定期昇給に加えて1%以上のベアで月例給与の引き上げにこだわる
 (2)賃金水準や賃金カーブのゆがみ、格差是正の必要性の把握に努め、
   これらを改善する取り組みを強化する。
 (3)企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げ
 (4)一時金については、月例賃金の引き上げにこだわりつつ、
   年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかる。
 (5)非正規労働者の時給改善分として、30円を目安に引き上げを求める。
 
●日本経団連:春季労使交渉に臨む経営側のスタンス
 今次の協議では、企業の存続と従業員の雇用維持・安定を最優先する議論が中心となる。賃金等を決定する際の基本的な考え方として、所定内給与を引き上げると総額人件費は 約1.7倍増加することに留意する必要がある。賃金をはじめ労働条件は「個別企業労使」が経営実態を踏まえて協議し、自社の支払い能力に即した決定が必要である。
 (1)賃金の引き上げについて、ここ数年と異なる対応も選択肢となり、
   より広い視野にたって議論していく姿勢が求められる。
 (2)賃金には基本給をはじめ、諸手当、賞与一時金、福利厚生費などが
   含まれ、自社の支払い能力に基づく判断が基本であり、賞与のみならず、
   特定層の賃金水準の引き上げや諸手当の改定など、
   多様な対応が考えられる。
 
●ちなみに労務行政研究所集計による2013年企業規模別賃上げ状況調査では定昇にベア(0.03%程)あわせて賃上げ額は
 300人未満      :4,897円 1.65%アップ
 300人~999人   :4,692円 1.58%アップ
 1,000人以上    :5,233円 1.65%アップ
 でした。
 
●連合が交渉の軸足を「月例賃金にこだわる闘いを進め、底上げ・底支えをはかる」としている事もあり、2014年度の給与改定では、業績良好な企業は給与規程で定められている定期昇給に加えて、可処分所得の目減り分の一部を補填する程度のベースアップあるいは手当額の変更等を検討することとなります。
 
●従って賃金管理研究所・2014年の指針としては、
 (1)業績良好な会社はベアと同時に賞与原資の増額を検討してください。
 (2)業績が良好とまでは言えない会社であっても時間外勤務や休日勤務の
   削減等を徹底し、ルール通りの定期昇給は実施し、同時に賞与原資の
   増額を検討してください。同時に特定層の賃金水準の引き上げや諸手当の
   改定も検討に値します。
 (3)現状を判断すれば、業績の回復はもう少し先になると考えられる場合で
   あっても、定期昇給は実施してください。
 
 大企業であれ、中小企業であれ、定期昇給を放棄することは、給料分という言葉どおり、会社(経営者)が大切な正社員に対して、今年からはクビにならずにすむ程度の成果しか君達には期待しないと宣言するに等しい行為であり、仕事力の伸びに相応しい査定昇給だけは実施しなければなりません。

 

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