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マネジメント

第10回 『下町ロケット』のモデル企業に学ぶ、新規ビジネスの見つけ方

酒井英之の社長のビジョン実現道場

なぜ、高木社長は「YES」と応えられたのか

とはいえ同社は、人工血管はもちろん、体内に入る製品など作ったことはありません。

また、高木社長は技術者ではありません。文系の出身です。

ですから、確信があってそう応えたわけではありません。

が、「Yes」と応えました。


ではなぜ、そう応えたのか。それは、地元福井のためでした。

「地域あってこその企業」。

そう考える髙木社長は常日頃から、地元福井のために新しい事業が興せないか、日々模索していたのです。


社長が探していた「新しい道」の条件は2つです。

・ニーズがあるもの。ニーズがないとシーズ(技術)は育たない

・日本国内ではなく、世界に対して売れるもの

上記の大学教授から電話がかかってきたのはそうしたタイミングでした。

 

実はこの教授は、「生体適合性の高いシルクを材料に使えば、人工血管を製品化できるのではないか」と着想してからシルク素材メーカーに電話をかけ続けていました。

その数200件。

が、そのほとんどに断られたと言います。

人工血管は口径の違いから、大口径、中口径、小口径に分類されます。

中でも直径6mm以下の小口径は血栓ができやすいことから、長期にわたって使用できるものはありませんでした。

 

「Yes」と応えてから約2週間。

髙木社長はサンプルを作り、それを教授に送ります。

教授はそれを見てビックリします。

「こりゃ本物だ。ぜひ会いたい」

これが同社がメディカル分野に参入するキッカケとなりました。

その取り組みの様子がテレビ番組で取り上げられました。すると、大阪医科大学(当時)の根本教授から同社に電話がかかってきました。

「ぜひ会いたい」というオファーです。

 

すぐに大学病院に駆け付けた髙木社長は、そこで心臓病に苦しむ子供たちの現実を知ります。

そして「自社の技術で何とかして子供体を救いたい」と、強く思うようになりました。

2014年以降、同社は大阪医科薬科大の心臓血管外科医・根本教授や帝人との共同開発を進めます。

そして数々の試行錯誤を経て2023年7月、同社の医療材料「心・血管修復パッチ」は厚生労働省の製造販売承認を取得したのです。

誰も成し得なかった、世界初の、世界中の心臓病に苦しむ子供たちを救う製品が福井から誕生したのでした。

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