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税務・会計

第27回 現場が納得した数字に基づく経営会議

新・会計経営と実学

第1回の経営会議に比べ2回目の会議は、出席者から多くの意見が出されました。

「会議資料の数字がどのように計算されているのか」、また、
「その数字の中身がよくわからない」といった声が出たのです。

そこで売上や経費の計上ルールを作り、経費の内訳明細も付けることになりました。
下の図を見て下さい。

tam27.jpg

部門ごとの材料費・外注費の支払明細を作り、現場の人に見てもらいました。

すると、たちまち次のような反応が出てきたのでした。
「浜中商事にこんな大きなお金を支払っていたのか」
「山田さんにこれだけ払っているなんてびっくりした」。

こうした反応は、会社全体の損益計算書だけでは分からなかった現場のお金が、
見えてきた結果なのです。

ある製造の現場責任者が、
「外注先にこれだけ支払うのだったら、自分のところで内作してはどうだろうか」と言うと、
営業部門からは、
「外注先へ発注すれば、そんなに高くないですよ。製造さんも頑張って、
  これより安く作ってくれなければ、仕事を外注先に出してしまいますよ」
といった意見も出されました。


しかし、この議論だけで終わってはいけません。
さらに経費の中味を知るためには、請求書や納品書も確認する必要があるのです。

ある現場担当者は、運賃の請求明細を見て、
「大阪運送の請求明細を見ると、日によって価格が違う。おかしいな。どうしてだろう?」
と気付きました。

そこで納品書を調べてみると、遅延特別便という項目で通常の日より、
6万円も高い金額が記載されていました。
生産が遅れて、午後5時を過ぎてトラック便に出すと割増運賃が請求されるのです。

実は、現場の担当者はこのことを知っていたのですが、
他人事のように、平気で遅くからトラック便に積み込んでいました。
部門毎に家計簿を持っていなかったため、全く痛みを感じていなかったのです。
しかし、自部門の家計簿からの支出として意識したとたんに、
「こんなに大きかったのか。もっと早い時間帯に製品を出さないといけない」
と行動に移すことになったのです。


また、家計簿の経費を見ていくうちに、経費の締め日にも目を向けるようになりました。
この会社は、経費の締め日は25日ですが、来月の仕入でも間に合うものまで、
締め日以前に仕入れていました。
1日後の26日に仕入れていれば、支払いも1カ月伸びていたはずです。

しかし、この会議を始めてから、しっかり家計簿を見るようになり、
少しでも経費を少なくするために、経費の締め日を意識するようになりました。

たった1日への執念が資金繰りを楽にしたのです。

毎月、自部門の経費の内訳明細をしっかり見ることにより、現場の責任者の数字に対する
執念が芽生え、その成果が家計簿に表れてくるのです。
 
 

 

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