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- 第79話 会社が破たんする原因は資産にある(8)
中小企業の再生を請け負った場合、再生できるかの判断にあたり財務で見るポイントは流動比率とROA、そして資産・負債の内容になります。流動比率は短期的な支払い能力がどのくらいあるのかを判断する指標、ROAは企業の収益性を判断する指標で、それらを求める式は下記となります。
なぜ流動比率を見るかというと、再生途中に資金繰りが破たんしないかどうかを判断する材料として確認し、ROAはおカネをかけた割合に見合う利益が得られるかどうか、その効率性を見るわけです。1,000万円あればできる事業で最終的に50万円の利益しかえられないものより、500万円の利益を得られたほうが効率がよく、当然ROAの高い事業・会社ほど再生見込みがあることになります。
ちなみに、上場企業でいうとオンラインゲームの開発運営をしている(株)コロプラが2015/09期決算で36.24、(株)カカクコムが2016/03期決算で36.23で高いROAを示しています。(参照 Yahoo!ファイナンス)
このROAがいくら高くても、総資産が何億円もないとできない事業の場合だとか、資産の中身を見ると極端に固定資産の比率が高い場合、再生が困難になる可能性があります。なぜなら事業に必要な資産を持つということは、その会社が破たんした場合、その資産に差押がかけられて再生どころではなくなるからです。
ホテルなどは流動比率が高く、ROAがよくても、消費税が滞納し差押、銀行借入も返済が遅れ抵当権が実行される。そして倒産というケースは多いのです。それゆえに資産・負債の内容、とりわけ資産の内容をじっくりとみることになります。
この資産と負債の内容をみるという作業で、数字で表された会社の現状をもとに会社ごとの経営改善策・事業建て直しプランが決まっていきます。そしてこの作業過程や会社の再建策は会社ごとに違うものとなります。
現在、私が経営にも関わっている会社は資産を差押えされ、手形の不渡りを出し、資金が0となって破たんしたものの、百万円以下の資金で再建し短期間に億に近い年商、黒字を実現したものです。こういった作業過程をへて資金をだしてもらったからこそ再生ができ、債権者の協力も得られたのです。それゆえにこれらの作業がとても重要なものとなることがわかるかと思います。