資産という観点で考えると、「特定の不動産に過度に依存する事業」で破たんした会社は債権者・借入残高、不動産の時価、担保設定状況とか、財務を総合的に考えないと再生できるか否かが判断できないのです。
具体的にこれにあてはまる会社は?というと、ホテル経営だとか、工場などが該当します。
工場の場合、他の場所に移転して事業を再生してもよさそうなものですが、機械類の移設費用の問題や熟練工の住所地との関係でやはり移転は難しいことになります。
民事再生をしてもこの根抵当権等は別除権と言われ、原則として民事再生手続による制約を受けることがありません。つまり民事再生をしてもホテルや工場そのものを競売に出されてしまい事実上の再生ができなくなるわけです。(注1:民事再生法第53条)
さらには事業融資の債権者が日本政策金融公庫(旧 国民生活金融公庫)や信用保証協会の場合、再生計画そのものを否決してくるケースも多いのです。
その結果、民事再生じたいができなくなり、破産に追い込まれることになるわけです。
ただし、その場合には事業に使われている不動産の抵当権者・根抵当権者にどちらかがなっていないこと。
また、時価余力があきらかにないと思われ、差押・仮差押をしてこないと推定されることが前提条件となります。
そんな場合でも、いやがらずに債権者と誠実に交渉していくことは絶対必要になるものです。
注1 (民事再生法第53条)
(別除権)
第五十三条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法 若しくは会社法 の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。
2 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。
3 担保権の目的である財産が再生債務者等による任意売却その他の事由により再生債務者財産に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。