■GDP成長率
昨年の実質GDP成長率上位国を見ると、1位カタール18.82%、2位モンゴル17.26%、3位トルクメニスタン14.70%、4位ガーナ13.61%、5位東ティモール10.60%と、上位は発展途上国が続いていて、これまで高度成長をしていたBRIC's諸国は中国が9.24%で10位、インドが7.24%で26位、ロシアが4.30%で80位、ブラジルが2.73%で114位と順位が下がっている。
成長率上位国は経済規模が小さいということもあるが、資源が豊富という共通点があり、カタールは天然ガスの埋蔵量が世界2位、モンゴルは世界第2位のタバントルゴイ炭鉱などの石炭やウラン、金、銅、トルクメニスタンは世界の4.3%を占める天然ガス、ガーナは最近石油の商業生産を開始、東ティモールは石油と天然ガスが出ている。
そのため、これらの資源を背景に世界中から投資が集まり、それが高い成長率につながっている。
■モンゴル
世界全体のGDPを見ると、既に40%を新興国・発展途上国が占めており、既成概念にとらわれずに幅広く世界の国々を見てゆく必要があると思い、GDP成長率が世界第2位のモンゴルに行って来た。
モンゴルというと、チンギス・ハンや横綱白鵬などの相撲力士を思い浮かべる人が多いと思うが、資源以外にも遊牧民が暮らす広大な草原や、建設ラッシュの100万人都市・首都ウランバートルなど、見るところはたくさんあった。
私は遊牧民の人が住む草原のゲル(遊牧民のテント式住居)に行って馬乳を原料に各家庭が作っている「馬乳酒」や、「ホルホグ」という石焼きした羊肉やジャガイモ、人参などの料理をごちそうになったり、テレルジ国立公園内のゲルキャンプに行きゲルに泊まり、草原を馬で移動したり、夜には満天の星空を眺めたりと、今まで味わったことがない広大な自然と接する体験を満喫した。
モンゴル人は雨が降ると草原が潤うため、「いい日だったね」と喜ぶのだそうだが、今年は雨が多く、私が行っている時も一日中雨が降ってウランバートル市内が洪水のようになってしまい、さすがに「もう雨はいい」と言い始めていた。
ウランバートルの中心街には、2009年にオープンしたルイ・ヴィトンなどブランド街が1~2階に入ったオフィスビル「セントラルタワー」や、24階建ての帆船のような形をした「ブルースカイタワー」といった近代的なオフィスビルも建ち、ハイブリッド車のプリウスやベンツ、BMWなども多く見かけ、富裕層が増えていることを感じたし、ホテルや観光地には日本人、韓国人、ドイツ人などの団体観光客が多く訪れていた。
しかし、市内の道路はデコボコで渋滞もひどく、交通インフラの整備は急務だし、冬の暖房設備での石炭燃焼による大気汚染問題など課題も多いため、それがビジネスチャンスにもなりそうだ。
======== DATA =========
●モンゴル
面積:156万4,100平方キロメートル(日本の約4倍)
人口:281万1,600人
首都:ウランバートル(人口128万7,100人)
民族:モンゴル人(全体の95%)、カザフ人等
言語:モンゴル語(国家公用語)、カザフ語
宗教:チベット仏教等
名目GDP:8,557,600万米ドル
一人当たりGDP:2,562米ドル
経済成長率:17.3%
インフレ率:10.2%
失業率:約7.7%