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第109回「エマニュエル・トッドの思考地図」(著:エマニュエル・トッド)

眼と耳で楽しむ読書術


緊急事態宣言こそ続いているものの、
コロナ感染者数の報道がトップに来る機会が減り、
情勢に変化が見えつつある今日。
 
先行き不透明な厳しい現状は、すぐには変わらないかもしれませんが、
社会全体として、この先を予測し、考えて動かねばならない時にきているように
感じています。
 
まさに今こそ読んでいただきたい一冊が、


109-1.jpg
 
エマニュエル・トッドの思考地図/amazonへ
 
 
です。
 
これまで、ソ連崩壊からリーマン・ショック、イギリスのEU離脱、
さらにはトランプ大統領の誕生など、数々の予測を的中させて世界を驚かせてきた、
フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏。
 
そんなトッド氏が自らの思考法について初めて明かす、
まさに待望の書!
 
日本でも多くの翻訳書が出版され、ベストセラーとなってきましたが、
本書は完全日本語オリジナル版というところが、またいいですね。
 
まず、どのような環境で育ち、どんな教育を受けてきたのかに始まり、
最終的には、具体的な思考のプロセスまでを見せるという巧みな構成。
 
「私が何かについて考える際の軸となっているものは、
一つはデータであり、もう一つは歴史です」
 
と語る"現代を代表する知性"トッド氏の頭の中が、
ページをめくるごとに、どんどん見えてきます。
 
個人的に特に印象に残ったのは、次の言葉。
 
「私の持論なのですが、どんな職業にも、ある共通点があります。
きちんと仕事ができる歴史家というのは、経済理論を理解し、
研究プログラムを練り、仮説を明確にするための文献を見つけることができ、
本を執筆できるわけです。
そしてそれは、仕事ができる農民が自分の土地のことをきちんと知り、
種まきの時期をきちんと把握し、最新技術についても理解しているのと
同じことなのです。
あるレベルに達した研究者とテニスプレイヤーとは、実は思っているほどの
違いはないのかもしれないのです」
 
職種を問わず、本書から得られるものがどれだけあるのかが、
予想できるかと思います。
 
また、読書の意義や大切さを繰り返し語っているところも特筆ものです。
 
ちなみに、本書の思考法を用いて、このコロナ時代の行く末を予測している箇所も
必見!
 
経営者やリーダーとしての思考力向上、
さらには時代を予測する目を養うためにも
すぐさま読んでいただきたい一冊!
必読中の必読本です。
 
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『モーツァルト:ピアノ・ソナタ集』(演奏:グレン・グールド)
 
109-2.jpg
 
 
 
です。
 
鬼才グールドによる、独創的なピアノ・ソナタ。
我が道を究めるスタイルは、トッド氏に通じるものも感じます。
合せてお楽しみいただければ幸いです。
 
では、また次回。
 
 

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