です。
これまで、ソ連崩壊からリーマン・ショック、イギリスのEU離脱、
さらにはトランプ大統領の誕生など、数々の予測を的中させて世界を驚かせてきた、
フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏。
そんなトッド氏が自らの思考法について初めて明かす、
まさに待望の書!
日本でも多くの翻訳書が出版され、ベストセラーとなってきましたが、
本書は完全日本語オリジナル版というところが、またいいですね。
まず、どのような環境で育ち、どんな教育を受けてきたのかに始まり、
最終的には、具体的な思考のプロセスまでを見せるという巧みな構成。
「私が何かについて考える際の軸となっているものは、
一つはデータであり、もう一つは歴史です」
と語る"現代を代表する知性"トッド氏の頭の中が、
ページをめくるごとに、どんどん見えてきます。
個人的に特に印象に残ったのは、次の言葉。
「私の持論なのですが、どんな職業にも、ある共通点があります。
きちんと仕事ができる歴史家というのは、経済理論を理解し、
研究プログラムを練り、仮説を明確にするための文献を見つけることができ、
本を執筆できるわけです。
そしてそれは、仕事ができる農民が自分の土地のことをきちんと知り、
種まきの時期をきちんと把握し、最新技術についても理解しているのと
同じことなのです。
あるレベルに達した研究者とテニスプレイヤーとは、実は思っているほどの
違いはないのかもしれないのです」
職種を問わず、本書から得られるものがどれだけあるのかが、
予想できるかと思います。
また、読書の意義や大切さを繰り返し語っているところも特筆ものです。
ちなみに、本書の思考法を用いて、このコロナ時代の行く末を予測している箇所も
必見!
経営者やリーダーとしての思考力向上、
さらには時代を予測する目を養うためにも
すぐさま読んでいただきたい一冊!
必読中の必読本です。
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『モーツァルト:ピアノ・ソナタ集』(演奏:グレン・グールド)
です。
鬼才グールドによる、独創的なピアノ・ソナタ。
我が道を究めるスタイルは、トッド氏に通じるものも感じます。
合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。