前回、「相手の立場で考える一言が仕事の質を変える」についてお話しました。今回は、「仕事が早い人が必ずやっている準備のしかた」についてお話します。
皆さんの中には、仕事は「準備8割」という言葉を聞いたことがあるという方がかなりいらっしゃるかと思います。当日の仕事の前にすでに準備の8割が終っていることを指します。新人の頃の私はこの言葉は知ってはいました。しかし今振り返ると、その重要性をどれほど理解していたかは甚だ疑問です。
この8割の準備を滞りなく出来る人が、結果として「仕事が早い人」と評価されます。情報化時代の今は、必要なことはすぐにいろいろ調べられます。しかし私は今回の項目に限らず、どの項目にも共通する「前提条件」があると感じています。言葉を変えると、調べて出てくる内容の中に、携る「あなた」の前提条件については殆ど触れられていないのです。すなわち、「自社の理念を正しく理解していること・自社の扱っている商品(製品)の幅広くかつ深い知識を持っていること・あきらめずにやりぬく実行力・想像力や柔軟性」などの『自分力=資質』をいつどんな仕事を振られても対応できるように基本の徹底を土台に日頃から鍛えておくことです。この個人を磨く資質があってこそ「準備8割」が成し遂げられるのです。この前提条件を飛ばしてしまうと「準備8割」の中身が大分薄くなってしまいます。
さらに出来ればどのような磨き方があるかを知りたいという方のために、私が考えた具体例を紹介します。資質は一朝一夕で身につくものではないので日常に落とし込めるトレーニング方法です。通勤の行きと帰りを利用して、「感じる自分のアンテナ」を増やせます。自宅から会社までの間で見聞きした、嬉しくなったこと・楽しくなったこと・よかったことなど自分の感情が「+」になった5個を見つけます。毎日探し続けるのですから一つひとつは些細なことで構いません。原稿の文字数の関係もあるのでここでは3個の例を挙げます。
・信号が二ケ所続けて青だった
・散歩中のポメラニアンと目が合った
・雲一つない空の青がまぶしかった
以上のようなことで十分です。そして帰りも朝と同じように、5個を探します。ただし気をつけていただきたいのは、「朝に感じた視点は取りあげない事」をルールとします。それをしてしまうと、アンテナを磨くトレーニングにならないのです。
・ラッシュの電車で座れた
・久しぶりの○○さんと、ランチをした
・路地からトルコマーチが聞こえてきた
一日のうちに視覚と聴覚が鍛えられます。
一日10個ですから、一ヶ月で約300個、一年続けると3,600個もの「+」が脳内に貯まります。でも全部覚えておくのは無理なので、必ずメモをしておくこと。身体の中に3,600もの「+」を蓄積している人とそうでない人は、立っているだけでオーラが違います。実際に半年これを続けていた薬局のスタッフ曰く、『些細な「+」でいいと言われたので試しにやりはじめたら、もう半年になりました。最初は書くのに少し時間がかかりましたが、今は自然に見つけられます。わかったことが5点ほどありました。
1.自分の視点が細やかになったこと。2.興味がぐんと広がったこと。3.自分はこんなに「+」に囲まれていたこと。4.患者さんへの関心が高まり、自分からのコミュニケーションが取りやすくなったこと。5.体調がよくないときは「+」が探しにくく、朝から元気なときは5個があっという間に探せたこと→だから毎日の体調管理の大事さも学べた』そうです(この先に分かることは、たぶん言葉に関することでしょう)このようなエネルギーは仕事に向かう姿勢そのものを高めます。今まで使ってこなかった大脳の一部を刺激するので、想像力や柔軟性にも十分対応可能なトレーニングといえます。
それでは、具体的な準備の仕方を8つの手順に分けて説明します。まず、「準備8割」は何故必要なのでしょうか?仕事の効率に大きく関わっているからです。準備なしに仕事を進めてしまうと、途中で想定外のトラブルが起こったり、納期に間に合わなくなったりがあるかもしれません。それらのリスクの回避に役立ちます。
① 仕事の「目的」をわかりやすく視覚化する。一枚の絵として細部までイメージできると、より動きやすくなる。
② 仕上げ方の形を決める(納品方法を一番相応しい形に決定する)。その決定を、細分化して作業の順番を整える→優先順位が見えると、今やること・今日やることが見えやすくなる。
③ やらなくてもよいことが混じっていないかも早い段階でチエックをしておく→作業の効率化になる。このとき意識をすることは、①の「目的」がしっかり見え続けているかが重要。軸足が揺れてしまうと、準備の道筋にも影響が出てきてしまう恐れがあるので注意する。
④ 行動目標のスタートをどれにするか、準備した項目からチョイスする。自社の過去の共有財産としての記録を参考にすることも良い方法。
⑤ 所要時間の見積もりをする。机上の計算だけではなく、実労働にかかる時間を加味している数字かを見落とさない。ここから締め切り日時を導き出す。ただしこの数字は実際に指示されている日時より2,3日早い日時を目安とする。
⑥ 揃えられるものからどんどん先に揃えていく。できれば、ここまで準備しておけばよいを超えるレベルでの準備をする。
⑦ 指示を出した人にどの段階で見せるかは、よく考えてから。ただ最後に見せるでは、万一やり直しが出たとき、その分の時間が余分にかかってしまう。正しいタイミングを計る必要がある。
⑧ 想定通りの準備が何らかの事情で不可能になったときの安全対策をしておく。①の段階で、サポートをお願いできる人を自分の中で決めておく。万一のときに慌てない。そのためには、日頃から自分が所属している部署を超えた人とのコミュニケーション作りを怠らない必要がある。(社内の人とすれ違う時は、役職などのポジションに関係なく、自分から先に挨拶をすることがポイント)
以上のようなことを踏まえて、明日の通勤時間の「+」5個を探すことから早速試してみてください。「準備8割」力が確実にアップしていくことに繋がっています。
最後に私の好きな格言の一つをプレゼントします。アメリカの第16代大統領エイブラハム・リンカーンの格言です。
『もし、木を切り倒すのに6時間
与えられたら、私は最初の4時間
は斧を研ぐのに費やすだろう』
心に沁みる言葉です。あなたが仕事をするときの道しるべにしていただければ嬉しいです。




















