米国の超大金持ちに育てられた人から聞いたのだが、クリスマスには毛皮やドレスのプレゼントと同時に
「・・という国に羊や牛をあなたの名前で寄付しまし た」という証明書を受け取ったそうだ。
欧米の資産家は子弟に「恵まれたものはそれ相応の貢献をしなくてはいけない」ことを早くから身をもって教える。
宗教的伝統、文化的背景も然りながら、後継 者教育、二世教育に有効という判断がそこにはあるように思われる。
小さなミニ財団を設け(海外の財団・公益信託は経費が安い)その運営を子供に担わせているある資産家は、
寄付をする際のノウハウ収得のみならず、コミュニケーション能力開発を含むリーダーシップ教育に役立つと明言する。
「自分たちが信じていることを伝えることになるし、どういうわけか親子関係がよくなっ た」という。
「他人のため」の心遣いをしているとき、人の心の垣根は低くなるのかもしれない。
社会にどう貢献するか、どう自分のお金やエネルギーを他人のために使ったらいいか、
なぜそうするのか、こうした教育は日本では従来余りなされてこなかったと思う。
結果、自己中心を生んでしまい、それが親への態度にも跳ね返っているのではないか。
「経験不足で教えられない」と、日本の親はいう。
では今から始めてみたらどうだろうか?
家族で話し合って同じボランティアをする、額は僅かでも寄付先を家族で相談して決めるなどが、
遠回りなようで確実な二世教育、後継者教育になるはずだ。
今後日本では企業としては勿論のこと、個人レベルでも、
「社会的貢献」を自分のスタイルで実践していくことが求められていく時代になっていくと思う。
榊原節子